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情報BOX:トランプ米大統領の相互関税一時停止、含まれる対象は

2025年04月10日(木)08時55分

4月9日、トランプ米大統領は国・地域ごとに輸入品に課すと表明していた相互関税を90日間停止すると発表した。写真は同日、ニューヨークのバーで撮影(2025年 ロイター/Jeenah Moon)

[ワシントン 9日 ロイター] - トランプ米大統領は9日、国・地域ごとに輸入品に課すと表明していた相互関税を90日間停止すると発表した。貿易障壁を下げるための交渉余地を残すためだとしている。一方、中国からの輸入品には125%の関税を課すと表明した。

世界の株式市場を混乱させ、数兆ドル相当もの株価下落を招いた過去1週間に続く今回の方針転換は、その目的に関して混乱を招いている。

下記はそれらの見直しの詳細だ。

<相互関税は一時停止>

トランプ氏の方針転換を受け、米国が大部分の貿易相手国から輸入する多くの商品は今後90日間にわたって10%の関税を課されることになる。

今月2日に発表された57カ国からの輸入品に対する相互関税は、90日間停止される。欧州連合(EU)と日本、韓国を含めたこれらの貿易相手国の関税率は10%に戻る。

ブラジルとオーストラリア、英国、コロンビアを含めた他の大部分の国に対しては、今月5日に導入した10%の「基本関税」が90日間適用されたままとなる。

<中国からの輸入関税を125%に>

中国が9日、米国からの輸入品に84%の関税を課すと発表したことを含めた数回の関税引き上げ合戦の後、トランプ氏は中国からの輸入品に適用する関税を1月の就任後で計125%に引き上げた。これは第1次トランプ政権が多くの中国製品に課した関税に上乗せされる

<カナダ、メキシコは変更なし>

トランプ氏の今月2日の発表にはカナダとメキシコは含まれていなかったが、これは米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)の原産地規則に従わない場合には25%を課すという合成麻薬フェンタニルなどの違法薬物を理由とした関税の対象となるためだ。

USMCAに準拠した物品には無期限の免除措置があり、これらは当面そのまま適用される。

<自動車、金属への関税は続く>

今回の停止措置は、トランプ氏が3月に公表した鉄鋼・アルミニウムの輸入品に対する25%の関税と、今月3日に始まった自動車への25%の関税は対象にならない。自動車部品に対する25%の関税は5月3日に実施される。

<銅や木材などの適用除外も当面維持>

トランプ氏は当初、銅と木材、半導体、医薬品、重要鉱物を広範な関税の対象から除外すると発表しており、これらの関税の適用除外も当面続く。しかし、これらの分野は将来的に調査の対象となり、自動車と同じように個別関税につながると予想されている。

これとは別に、トランプ氏は石油、ガス、その他のエネルギー製品を関税の対象外とした。

ロイター
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