ニュース速報
ワールド

米印首脳会談、貿易と関税巡る対立解消へ協議開始で合意

2025年02月14日(金)16時50分

 2月13日、トランプ米大統領は、ワシントンを訪問したインドのモディ首相と会談した。インドが関税引き下げや米国産石油・ガスおよび戦闘機の購入拡大など、貿易戦争回避につながる可能性のある譲歩について協議することを申し出たと明らかにした。ホワイトハウスで撮影(2025年 ロイター/Kevin Lamarque)

Trevor Hunnicutt David Brunnstrom Nandita Bose

[ワシントン 13日 ロイター] - 米国とインドは13日、早期の貿易協定締結と関税を巡る対立解消に向けた協議を開始することで合意した。インドは米国産石油・ガスと軍装備品の購入拡大や不法移民対策を約束した。

一連の合意はトランプ米大統領とモディ印首相がホワイトハウスで会談した後に発表された。

トランプ氏はこれに先立ち、インドにおける米国企業の事業環境を非難し、米国の輸入品に関税を課している全ての国に相互関税を課すと発表した。

インド外務省高官によると、貿易を巡る懸念の解消に関する合意は今後7カ月内に実現できる可能性がある。

会談後の共同声明によると、米国はインドが最近になって一部の米国製品に対する関税を引き下げ、米国産農産物の市場アクセスを拡大したことを歓迎したほか、今年秋までに貿易協定の初期段階交渉を目指す。

トランプ氏は会談後の共同記者会見で、インドは戦闘機を含む米防衛装備品の購入を「数十億ドル」増やしたいと考えていると述べた。「最終的にインドにF35ステルス戦闘機を提供する道も開いている」と語った。米国が石油とガスの「供給国トップ」になる可能性があるとも述べた。

前出のインド高官はF35戦闘機購入について、現時点では提案だとし、正式なプロセスは始まっていないとした。

モディ氏は両国が2030年までに2国間貿易を5000億ドルに倍増させる目標を掲げており、互恵的な貿易協定を早期に締結できるよう取り組むと述べた。

両国が人工知能(AI)・半導体分野で協力し、戦略的鉱物の強力なサプライチェーン(供給網)構築に注力するとも語った。

ホワイトハウスは合意に関するコメント要請に応じなかった。

<「国益を最優先」>

トランプ氏は1期目にモディ氏と良好な関係を築いたが、この日は再び、インドの関税は「非常に高い」と述べ、相応する関税を課すと表明した。

記者会見で「われわれはインドと相互関係にある」とし、「インドが課すものはわれわれも課す」と話した。

一方、モディ氏もインドの国益を守ると表明。「私がトランプ大統領から学び、深く評価していることの一つは、彼が国益を最優先していることだ」とした上で、「彼のように私もインドの国益を最優先する」と述べた。

両首脳はまた、中国を念頭にインド太平洋での安全保障協力を深化させることで合意した。

モディ氏はギャバード米国家情報長官とも会談し、テロ対策やサイバーセキュリティー分野での協力強化について協議した。

実業家のイーロン・マスク氏とも、宇宙開発やテクノロジーなどを巡り協議した。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

台湾中銀、政策金利据え置き 成長予想引き上げも関税

ワールド

UAE、イスラエルがヨルダン川西岸併合なら外交関係

ワールド

シリア担当の米外交官が突然解任、クルド系武装組織巡

ビジネス

ロシア財務省、石油価格連動の積立制度復活へ 基準価
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:世界が尊敬する日本の小説36
特集:世界が尊敬する日本の小説36
2025年9月16日/2025年9月23日号(9/ 9発売)

優れた翻訳を味方に人気と評価が急上昇中。21世紀に起きた世界文学の大変化とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「日本を見習え!」米セブンイレブンが刷新を発表、日本では定番商品「天国のようなアレ」を販売へ
  • 2
    中国は「アメリカなしでも繁栄できる」と豪語するが...最新経済統計が示す、中国の「虚勢」の実態
  • 3
    1年で1000万人が死亡の可能性...迫る「スーパーバグ」感染爆発に対抗できる「100年前に忘れられた」治療法とは?
  • 4
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 5
    燃え上がる「ロシア最大級の製油所」...ウクライナ軍…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「リラックスできる都市」が発…
  • 7
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 8
    中国山東省の住民が、「軍のミサイルが謎の物体を撃…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 1
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 2
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれば当然」の理由...再開発ブーム終焉で起きること
  • 3
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサイルが命中、米政府「機密扱い」の衝撃映像が公開に
  • 4
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 5
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 6
    「二度見した」「小石のよう...」マッチョ俳優ドウェ…
  • 7
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 8
    【クイズ】世界で1番「島の数」が多い国はどこ?
  • 9
    「なんて無駄」「空飛ぶ宮殿...」パリス・ヒルトン、…
  • 10
    観光客によるヒグマへの餌付けで凶暴化...74歳女性が…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「まさかの真犯人」にネット爆笑...大家から再三「果物泥棒」と疑われた女性が無実を証明した「証拠映像」が話題に
  • 4
    信じられない...「洗濯物を干しておいて」夫に頼んだ…
  • 5
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影…
  • 6
    「レプトスピラ症」が大規模流行中...ヒトやペットに…
  • 7
    「あなた誰?」保育園から帰ってきた3歳の娘が「別人…
  • 8
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 9
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 10
    プール後の20代女性の素肌に「無数の発疹」...ネット…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中