中国EV3社、EUの関税措置巡り異議申し立て

欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)に対する関税引き上げを決定したことに対し、中国のEVメーカー3社がEUの裁判所に異議を申し立てたことが23日、裁判所のウェブサイトに掲載された資料で分かった。2024年11月撮影(2025年 ロイター/Athit Perawongmetha)
Philip Blenkinsop
[ブリュッセル 23日 ロイター] - 欧州連合(EU)が中国製の電気自動車(EV)に対する関税引き上げを決定したことに対し、中国のEVメーカー3社がEUの裁判所に異議を申し立てたことが23日、裁判所のウェブサイトに掲載された資料で分かった。
3社は期限の前日に当たる21日に訴状を提出した。
EUは、中国製EVを巡る不当な補助金を巡る調査を経て、2024年10月末に関税の引き上げを決めた。
EUの基本的な自動車輸入関税10%に加え、比亜迪(BYD)は17.0%、吉利汽車(ジーリー)は18.8%、上海汽車集団(SAIC)は35.3%の関税が上乗せされている。
裁判の審理期間は平均で1年半程度かかり、上訴の可能性もある。
EUにおける中国商工会議所によると、中国の機械・電気製品業界団体、中国機電産品進出口商会(CCCME)も22日に異議申し立てを行った。
CCCEUは23日に発表した声明で、加盟企業を代表して行動を起こしたとし、中国のEV企業の合法的な権利と利益を断固として守り続けると表明した。
EU欧州委員会は異議申し立ての事実を把握しているとし、中国との技術的な接触は継続していると明らかにした。
中国側の異議申し立てには、1)補助金の評価、2)EU産業への損害の立証、3)欧州委が業界からの苦情に基づかず、自らの判断で調査を開始するという異例の決定を下したことーーが論点が含まれる可能性が高い。
一方、中国から欧州に自動車を輸出している米テスラに課せられた上乗せ関税は最低水準の7.8%にとどまった。これに対し、中国勢はEUの上乗せ関税の算定方法への不満も表明している。
テスラは関税率を算出する公式サンプルに含まれていない。もしテスラの低い追加関税率が反映されていれば、中国勢の関税率は引き下げられていた可能性がある。