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ロ印首脳会談、緊密協力で合意 モディ氏、人命損失を公然と批判

2024年07月10日(水)04時58分

 ロシアのプーチン大統領は9日、クレムリンでインドのモディ首相と会談し、両国が特別な戦略的パートナーシップを享受していると述べ、ウクライナ戦争の平和的解決に向けた尽力に謝意を示した。モスクワ郊外で8日代表撮影(2024年 ロイター)

[モスクワ 9日 ロイター] - ロシアのプーチン大統領は9日、クレムリンでインドのモディ首相と会談し、両国が特別な戦略的パートナーシップを享受していると述べ、ウクライナ戦争の平和的解決に向けた尽力に謝意を示した。

プーチン氏は「われわれの関係は、特別に恵まれた戦略的パートナーシップという特性を持つ」と発言。

「ウクライナ危機を解決する方法、とりわけ平和的手段による解決方法の模索を含め、最も深刻な問題に注がれている関心に感謝する」と述べた。

これに対しモディ首相は、「友人として、私は常に、将来の世代のために平和が必要だと述べてきた。戦場では解決は不可能だ。銃や弾丸、爆弾が飛び交う中で和平交渉は成功しない。話し合いを通じてのみ平和への道を見つけなければならない」と述べた。

モディ首相による2日間の訪問を終え、両国は原子力から医療に至るまで緊密な協力に向けた9つの主要分野を設定。2030年までに二国間貿易を1000億ドルにすることを目指すと述べた。

しかし、ロシアが友好国とみなす国の指導者からウクライナ戦争を巡って公然と批判されることはほぼなかったことを考えると、モディ首相のテレビでの発言は驚きだった。

8日、首都キーウ(キエフ)など各地でロシアのミサイル攻撃があり、全土で少なくとも41人が死亡した。キーウでは小児病院が大きな被害を受けた。

モディ氏は「戦争、紛争、テロ攻撃であれ、人命が失われれば、人道主義を信じる人は誰でも心を痛める」とし、罪のない子どもたちが亡くなることは「非常に痛ましい」と語った。

モディ氏が、ウクライナ侵攻を巡りロシアを暗に批判したのは今回が初めてではない。2022年9月、モディ氏は「今は戦争をしている時ではない」とプーチン氏に語り、プーチン氏はモディ氏の懸念を理解していると述べている。

それでもインドは、ウクライナ侵攻を巡りロシアに厳しい制裁を科す西側主要国と一線を画し、ロシアにとって重要性が増している。米国はインドとロシアの接近を警戒する。米国務省報道官は8日、モディ氏の訪ロに関し「対ロ関係を巡るわれわれの懸念を直接、極めて明確にインドに伝えた」と述べた。

ニューデリーのシンクタンク、防衛研究分析研究所のユーラシア専門家スワスティ・ラオ氏は、モディ氏の姿勢について、インドをロシアとウクライナの信頼できる仲介者としてアピールし、「暴力に反対する信頼できる主体としてのインドに対する国際社会の信頼を回復しようとする」ことが狙いだと述べた。

また、これはロシアに対し、互いに貴重なパートナーだがインドは国連憲章と国際法を順守しているということを思い出させる意図もあったと指摘した。

米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は、インドはロシアとの関係により、プーチン氏にウクライナとの戦争を終わらせるよう促すことができるとの認識を示した。

ロイター
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