合成ニコチンの健康への影響巡り議論、中毒性がより高い恐れ
米国などの国々で、いわゆる合成ニコチンを配合した電子たばこが登場し、健康への影響に議論が広がっている。写真は21日、コロラド州アーバダで撮影した電子たばこ(2024年 ロイター/Kevin Mohatt)
Emma Rumney
[ロンドン 29日 ロイター] - 米国などの国々で、いわゆる合成ニコチンを配合した電子たばこが登場し、健康への影響に議論が広がっている。
米食品医薬品局(FDA)や研究者らによると、現時点では科学的なデータが不完全だとされるものの、天然のニコチンに比べて作用が強力で中毒性も高い可能性があるという。
紙巻きたばこや多くの電子たばこに含まれる天然のニコチンは、たばこの葉から抽出されるが、合成ニコチンは天然のニコチンと類似の構造を持つ物質として人工的に合成され、米国のたばこ規制の対象にはなっていない。
つまり米国では、合成ニコチン配合の電子たばこであれば、コストや手間がかかるFDAの承認手続きを経ないで販売することが可能だ。
こうした中でたばこ大手アルトリア・グループは9日付のFDA宛て書簡で、6-メチルニコチンなどの合成ニコチンを電子たばこ向けに使用する動きに触れ、業界の規制の枠組みにとって「新たな脅威」が生じると警告し、具体的な対応を検討するよう求めた。
同社は「ニコチンの効果に似せるための化学物質の導入や普及拡大を野放しにすれば、米国の消費者に未知のリスクをもたらし、FDAの権威が損なわれかねない」と訴えている。
FDAは、個別企業とのやり取りについてはコメントしないと述べた一方、ロイターが6-メチルニコチンなどの合成ニコチンに関する見解を質問すると「さらに研究が必要だが、一部データからはこれらのニコチン類似物が、既に中毒性が高いニコチン自体よりも効き目が強く、思春期の脳の発達に変化を与え、青少年の注意力、学習力、記憶力に長期的影響を及ぼすかもしれない」と述べた。
またFDAは、このような合成物質の使用に関して「組織全体の観点」から吟味を続けているところで、青少年の健康に有害となる恐れがある製品から彼らを守ることに全力を注ぐ方針だと強調した。
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