ニュース速報

ワールド

米、撃墜した偵察気球の回収に着手 中国は緊張激化の回避促す

2023年02月06日(月)16時36分

 2月5日、米国防総省は、東部サウスカロライナ州沖で撃墜した中国の偵察気球の回収作業を進めていると発表した。写真は撃墜された後の気球。サウスカロライナ州沖で4日撮影(2023年 ロイター/Randall Hill)

[北京/ワシントン 6日 ロイター] - 米軍は5日、東部サウスカロライナ州沖で前日に撃墜した中国の偵察気球の回収作業を進めていると発表した。一方、中国は6日、緊張を激化させたり、中国の国益を一段と損ねたりする行為を控えるよう米国に求めた。

北米航空宇宙防衛司令部(NORAD)・北方軍のバンハーク司令官は声明で「米海軍要員が現在、回収作業を実施しており、沿岸警備隊が作業場所の確保と安全の維持を支援している」とした。

偵察気球の残骸を回収できれば中国の情報収集能力について見識を深めるのに役立つ可能性があるが、米政府の当局者らは国家安全保障への影響は限定的との認識を示している。

偵察気球は米戦闘機がミサイルを発射して撃ち落とした。バンハーク司令官は米領海内で撃墜したと述べた。

中国は撃墜について、「過剰反応」だと反発した。

中国外務省の謝鋒次官は在中国米国大使館に対し「(気球撃墜に)中国は断固として反対し、強く抗議する」と表明。「中国政府は状況の推移を注意深く見守っている」と述べた。同省が6日にウェブサイトで明らかにした。

気球を巡る問題は、米中が対話を強化し、中国による重要先端技術の入手を阻止する米国の取り組みなど複数の分野で近年悪化していた関係の修復に乗り出そうとした矢先に起きた。

中国は撃墜による「深刻な影響」を警告し、「同様の状況」への対応で必要な措置を講じると表明した。詳細には触れなかった。一部のアナリストは、中国の対応は両国間関係の一層の悪化を避けるため微妙に調整されたものになるとみている。

INGは6日のノートで、この問題が米中の「テック戦争」を激化させ、短期的に人民元にマイナス影響を及ぼすと指摘。「双方が異なる産業で技術輸出をさらに禁止する可能性が高い。新型コロナウイルス規制による物流混乱リスクは解消されたが、この問題がサプライチェーンへの新たな脅威だ」とした。

RIA通信によると、ロシアのリャブコフ外務次官は6日、中国がこの件で責任ある行動を取ると確信していると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

川崎重社長、防衛事業の売上高見通し上振れ 高市政権

ワールド

米16州、EV充電施設の助成金停止で連邦政府を提訴

ワールド

中国最新空母「福建」、台湾海峡を初めて通過=台湾国

ワールド

ウクライナ安全保証、西側部隊のロシア軍撃退あり得る
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を変えた校長は「教員免許なし」県庁職員
  • 4
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 5
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 6
    「住民が消えた...」LA国際空港に隠された「幽霊都市…
  • 7
    空中でバラバラに...ロシア軍の大型輸送機「An-22」…
  • 8
    【人手不足の真相】データが示す「女性・高齢者の労…
  • 9
    FRBパウエル議長が格差拡大に警鐘..米国で鮮明になる…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出を睨み建設急ピッチ
  • 4
    デンマーク国防情報局、初めて米国を「安全保障上の…
  • 5
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 6
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 7
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 8
    【クイズ】「100名の最も偉大な英国人」に唯一選ばれ…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 3
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 4
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 5
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 6
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 7
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 8
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中