ニュース速報

ワールド

中国でコロナ規制抗議拡大、上海では「共産党・習近平退陣」の声

2022年11月28日(月)11時30分

 中国で厳しい新型コロナウイルス規制に対する抗議活動が行われ、27日までに上海を含む各都市に広がった。新疆ウイグル自治区のウルムチで発生した火災をきっかけに怒りが渦巻き、中国指導部を非難する声も上がっている。写真はウルムチの火災犠牲者を追悼する人々。ソーシャルメディアに投稿された動画の一場面(2022年 ロイター)

[上海/北京 28日 ロイター] - 中国で厳しい新型コロナウイルス規制に対する抗議活動が行われ、27日までに首都・北京を含む各都市に拡大、上海では同日夜、数百人のデモ参加者と警察が衝突した。新疆ウイグル自治区のウルムチで発生した火災をきっかけに怒りが渦巻き、中国指導部を非難する声も上がっている。

24日にウルムチの高層ビルで起きた火災では10人が死亡。当局は否定するものの、インターネット上ではビルが部分的にロックダウン(封鎖)されていたため住民が逃げ遅れたとの声が上がり、動画などによると25日夜にはウルムチの路上でロックダウンに抗議するデモが起きた。

上海では26日夜、ウルムチにちなんで名付けられた市内の道路に住民が集まり、ろうそくをともす追悼活動が行われたが、27日未明に抗議活動へと発展。大勢の警察が見守る中、群衆は検閲に対する抗議の象徴である白紙の紙を掲げた。

ソーシャルメディアに投稿された動画によると、群衆はその後、「ウルムチ封鎖を解除しろ、新疆封鎖を解除しろ、中国全土の封鎖を解除しろ」と叫んだ。

同日夜までに周辺に数百人が集まり、警察ともみ合いになる人も見られた。

ロイターの記者は、警察が数十人をバスに乗せ、その後、走り去るのを目撃した。

目撃者や動画によると、別の場所では大規模な集団が「中国共産党は退陣しろ、習近平(国家主席)は退陣しろ」と叫び始めた。中国指導部に対する公の抗議活動は異例だ。

北京では28日未明、合わせて1000人以上に上る2つのグループが亮馬河周辺に集まり、一方のグループは「マスクは要らない、自由が必要。コロナ検査は要らない、自由が欲しい」と叫んだ。

また、北西部の蘭州市では26日、住民がコロナ対応要員の仮設テントをひっくり返したり、コロナ検査ブースを壊したりする抗議活動が行われ、投稿が中国のソーシャルメディアで広く共有された。

ソーシャルメディア上の動画によると、南西部の主要都市、成都では27日、大勢の人が集まって白紙を掲げ、習主席を念頭に「生涯にわたる支配者は要らない。皇帝は要らない」と声を上げた。

3年前に新型コロナが最初に流行した中部の武漢でも、数百人の住民が路上で金属製のバリケードやコロナ検査所のテントを倒したり、ロックダウンの解除を求めたりして抗議する映像が広がった。

ウルムチ火災の犠牲者のための追悼活動は、南京や北京といった都市の大学でも行われた。ネットユーザーらはソーシャルメディアに白い四角を投稿し、連帯感を示した。27日の朝までに、「白紙運動」というハッシュタグは中国版ツイッター「微博(ウェイボ)」でブロックされた。

イェール大学のダン・マッティングリー助教授(政治学)は「党が弾圧に乗り出し、一部デモ参加者が逮捕・起訴される可能性が高い」としつつ、1989年の天安門事件のような騒乱にはほど遠いと指摘。「エリート層に分裂がなく、人民解放軍と治安機関が付いている限り、彼(習主席)の権力が大きなリスクに直面することはない」と語った。

*動画を付けて再送します。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

プーチン氏、15日にトルコで直接協議提案 ゼレンス

ビジネス

ECBは利下げ停止すべきとシュナーベル氏、インフレ

ビジネス

FRB、関税の影響が明確になるまで利下げにコミット

ワールド

インドとパキスタン、停戦合意から一夜明け小康 トラ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノーパンツルックで美脚解放も「普段着」「手抜き」と酷評
  • 3
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦闘機を撃墜する「世界初」の映像をウクライナが公開
  • 4
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 5
    指に痛みが...皮膚を破って「異物」が出てきた様子を…
  • 6
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 7
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 8
    「股間に顔」BLACKPINKリサ、ノーパンツルックで妖艶…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    足の爪に発見した「異変」、実は「癌」だった...怪我…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 3
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 4
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 5
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 6
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 7
    SNSにはトップレス姿も...ヘイリー・ビーバー、ノー…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 10
    ロシア機「Su-30」が一瞬で塵に...海上ドローンで戦…
  • 1
    心臓専門医が「絶対に食べない」と断言する「10の食品」とは?...理想は「1825年の食事」
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 8
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中