ニュース速報

ワールド

訂正-上海から金融関係者が大量脱出か、都市封鎖で悲鳴 香港業務など希望

2022年04月27日(水)07時49分

 コロナ感染予防のロックダウンで自宅に閉じ込められたままの上海の金融関係者らが上海に見切りをつけ、香港や他の金融センターに戻って働く準備をしつつある。写真は16日、上海で防護服を着た人たち(2022年 ロイター/Aly Song)

(英文の訂正により、6段落目のゴールドマン・サックスの増員数を「10人近く」から「50人近く」に訂正します)

[香港 26日 ロイター] - コロナ感染予防のロックダウン(都市封鎖)で自宅に閉じ込められたままの上海の金融関係者らが上海に見切りをつけ、香港や他の金融センターに戻って働く準備をしつつある。多くは上海で仕事を始めて数年しかたっていないが、事業の展望は損なわれ、家族のための日々の食べ物や生活必需品の確保もままならないためだ。

業界幹部らによると、ロックダウンが長期化する中で、見込みのあった金融案件が物理的な理由から保留になったままになるなど、事業に影響が出始めている。

2020年暮れ頃に香港から上海に移ったプライベート・エクイティ投資家の男性は「上海で起きていることはほとんどの人にとって衝撃的だ。これほどまでに収拾がつかない状態になると誰が想像しただろうか」と嘆く。

この男性は外国への渡航制限が緩和され、中国本土と香港間を容易に行き来できるようになるのを待ち受けている。自分の子どもたちを香港の学校に戻し、自分は必要最低限な範囲を除いて上海関連の仕事を減らすことを考えている。「最大のフラストレーションは、今は自分ではどうすることもできないことだ」という。

上海は地域の金融一大拠点になる野望を掲げていただけに、こうした上海脱出の動きが本格化すれば痛手になる。中国政府の金融セクター開放を受けてここ数年、上海で拠点を拡充してきた外資系の投資銀行や保険会社、資産運用会社などにとっても聞きたくない話だ。

微信(ウィーチャット)に投稿された採用情報を見るだけでも、ゴールドマン・サックスは上海の人員を10人近く(訂正)に増やそうとしていた。JPモルガンは昨年、上海事業を100%子会社にしたばかり。ブラックロックは上海のファンド部門を約20人増員しようとしている。

顧客の近くで仕事をし、新しい分野での自分の専門性を高め、大型案件をものにしようと、多くのバンカーやトレーダーやファンドマネジャーらが香港などから上海に移ってきていた。

今、上海のバンカーらの最大の難関は、株式の新規公開(IPO)を計画したり合併・買収(M&A)の機会を探ったりする顧客企業に対し、工場などでの実地のデューデリジェンス(資産査定)ができないことだ。ある欧州系銀行の投資銀行部門幹部は「デューデリをバーチャルでやるのは不可能だ」と言い放つ。この幹部は2月に臨時ベースで上海に来ていたという。

人材会社REフォース・グループで金融業界を担当する上海駐在幹部のジェイソン・タン氏は「ロックダウンが終わったとたん、あらゆる業界の上海駐在員たちが中国以外での仕事を求めて交渉を始めるのではないか。(上海で)ロックダウンはまた起きるかもしれないし、次はもっと長期化し、もっと厳しくなってもおかしくない」と指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2022 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

過度な為替変動に警戒、リスク監視が重要=加藤財務相

ワールド

アングル:ベトナムで対中感情が軟化、SNSの影響強

ビジネス

S&P、フランスを「Aプラス」に格下げ 財政再建遅

ワールド

中国により厳格な姿勢を、米財務長官がIMFと世銀に
MAGAZINE
特集:日本人と参政党
特集:日本人と参政党
2025年10月21日号(10/15発売)

怒れる日本が生んだ「日本人ファースト」と参政党現象。その源泉にルポと神谷代表インタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 2
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 3
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口減少を補うか
  • 4
    大学生が「第3の労働力」に...物価高でバイト率、過…
  • 5
    「認知のゆがみ」とは何なのか...あなたはどのタイプ…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    【クイズ】サッカー男子日本代表...FIFAランキングの…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「金の産出量」が多い国は?
  • 9
    疲れたとき「心身ともにゆっくり休む」は逆効果?...…
  • 10
    【クイズ】世界で2番目に「リンゴの生産量」が多い国…
  • 1
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以外の「2つの隠れた要因」が代謝を狂わせていた
  • 2
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 3
    中国人が便利な「調理済み食品」を嫌うトホホな理由とは?
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 6
    ベゾス妻 vs C・ロナウド婚約者、バチバチ「指輪対決…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    時代に逆行するトランプのエネルギー政策が、アメリ…
  • 9
    「中国のビットコイン女王」が英国で有罪...押収され…
  • 10
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 7
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 8
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 9
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
  • 10
    数千円で買った中古PCが「宝箱」だった...起動して分…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中