ニュース速報

ワールド

中国の2020年総人口は14.1億人、1950年代以降で最低の伸び

2021年05月11日(火)15時47分

 5月11日、 中国の国勢調査の結果によると、2020年の総人口は14億1000万人で、前回調査(2010年)時の13億4000万人から5.38%増加した。春節の祭りの様子、上海で2月撮影(2021年 ロイター/Aly Song)

[北京 11日 ロイター] - 中国が11日に発表した2020年の総人口は、1950年代以降で最低の伸びとなった。人口減少を回避するため、当局は出生数の増加に向けた対応を迫られそうだ。

中国が発表した2020年の国勢調査によると、総人口は14億1000万人で、前回調査(2010年)時の13億4000万人から5.38%増加した。10年前の伸び率は5.84%増だった。

同国では、1970年代後半に「一人っ子政策」が導入されて以来、人口の増加ペースが鈍っていた。

出生率は女性1人当たり1.3人。日本やイタリアなど高齢化社会に並ぶ水準となった。

中国は2016年、人口を20年までに約14億2000万人にする目標を掲げたが、この目標をわずかに下回ったことになる。出生率の目標は1.8前後だった。

中国国営メディアはこのところ、今後数年で人口が減少に転じる可能性があるとの見方を伝えている。国連は中国本土の人口が2030年にピークに達し、その後減少に転じると予測している。

英フィナンシャル・タイムズ(FT)紙は4月下旬、状況に詳しい複数の関係者の話として、中国の人口が2020年に前年比で減少したと報道。中国国家統計局は、20年の人口は増加したとの1行の声明文を発表したが、いつに比べて増えたかは明らかにしなかった。

経済力の強化を目指す中国では、以前から人口問題に対する懸念が浮上している。

中国政府は2016年に一人っ子政策を廃止し、二人っ子政策を導入した。

国家統計局の寧吉哲局長は11日、国内人口は今後ピークに達するが、時期は不明だと発言。高齢化が進み、出生数が減少しているため、政府は人口動態に関連するさまざまなリスクに積極的に対応していくと述べた。

2010年以前の6回の公式な人口統計(初回は1953年)では、人口は一貫して2桁の伸びを示していた。

今回の国勢調査では、若者の人口が予想外に増加した。14歳以下が占める割合は、2020年が17.95%。2010年は16.6%だった。

2016ー19年の年間の出生率は、16年を除いておおむね低下している。同局長によると、20年の出生数は1200万人。19年の1465万人から急減した。

北京のシンクタンク「全球化智庫」の人口統計学専門家は「出生数が急減していることは確かだ。さまざまなデータがそれを示している」と指摘。

「中国が出生数の急減に直面していることは、国勢調査の公表がなくても分かる」とし、2020年の人口が減少しなかったとしても「2021年か2022年、もしくは非常に近い時期に」人口が減少するとの見方を示した。

中国では、特に1990年以降に生まれた都市部の夫婦の間で、子供をもうけるよりも、自由やキャリアを重視する傾向が強い。

人口が多い大都市で生活費が上昇していることも、出生数を抑制する要因となっている。

政府系シンクタンクの2005年の報告書によると、普通の世帯で子供1人を育てるには49万元(7万4838ドル)かかったが、地元メディアによると、20年は199万元と、4倍に上昇している。

上海の保険会社に勤務する26歳の既婚女性は「私の年齢の女性が子供を産めば、自分のキャリアに破滅的な影響が出る。また、(上海の)養育費も高すぎる」と語った。

労働人口が縮小すれば、高齢者向けの社会保障制度にも影響が出かねない。

65歳以上が人口に占める割合は、20年が13.5%。10年の8.87%を大きく上回った。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ウ代表団、今週会合 和平の枠組み取りまとめ=ゼレ

ビジネス

ECB、利下げ巡る議論は時期尚早=ラトビア中銀総裁

ワールド

香港大規模火災の死者83人に、鎮火は28日夜の見通

ワールド

プーチン氏、和平案「合意の基礎に」 ウ軍撤退なけれ
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 3
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果のある「食べ物」はどれ?
  • 4
    【寝耳に水】ヘンリー王子&メーガン妃が「大焦り」…
  • 5
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 6
    がん患者の歯のX線画像に映った「真っ黒な空洞」...…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    7歳の娘の「スマホの検索履歴」で見つかった「衝撃の…
  • 9
    ウクライナ降伏にも等しい「28項目の和平案」の裏に…
  • 10
    ミッキーマウスの著作権は切れている...それでも企業…
  • 1
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 2
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 3
    ポルノ依存症になるメカニズムが判明! 絶対やってはいけない「3つの行動」とは?【国際研究チーム】
  • 4
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 5
    AIの浸透で「ブルーカラー」の賃金が上がり、「ホワ…
  • 6
    海外の空港でトイレに入った女性が見た、驚きの「ナ…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベー…
  • 10
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 10
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中