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EU首脳会議、トルコとの通商関係強化を表明 制裁にも言及

3月25日、欧州連合(EU)は首脳会議で、トルコとの通商関係を強化すると表明した。写真は欧州委員会のフォンデアライエン委員長。25日ブリュッセルでの代表撮影(2021年/ロイター)
[ブリュッセル 25日 ロイター] - 欧州連合(EU)は25日に開いた首脳会議で、トルコとの通商関係を強化すると表明した。一方で、同国が東地中海での炭化水素資源開発を再開すれば制裁を科すと警告した。
また、人権問題にも懸念を表明。トルコが欧州評議会の「女性への暴力およびドメスティックバイオレンス(DV)防止条約」からの脱退を決めたことに失望感を示した。
EUの執行機関である欧州委員会のフォンデアライエン委員長はビデオ会議後、記者団に対し「トルコはより建設的な態度を示している」とした上で、「しかしながら、われわれはこの緊張緩和のプロセスが脆弱であることも認識している」と語った。
首脳会議の声明によると、EU首脳は、域内の専門家が「関税同盟の近代化に向けた権限付与に取り組む」とし、1990年代の貿易協定である関税同盟の対象をサービスや農産物、政府調達に広げることを認めた。
これによりEU加盟候補国であるトルコは、EU市場にほぼ全面的にアクセスできるようになる。
関税同盟の拡大は、トルコがシリア難民の受け入れに合意した2016年に計画されていたが、同国の人権問題や資源開発、EU加盟手続きの停滞などを巡る双方の対立から進んでいなかった。
関税同盟拡大に向けた交渉がまとまるまでには依然として数年かかる可能性があり、域内での影響力拡大を目指すエルドアン大統領が方針を転換させる可能性をEUは引き続き懸念している。
EU首脳は声明で「トルコに対し、国際法に違反する挑発行為や一方的な行動の再開を控えるよう求める」とし、6月に進展状況を点検する方針を示した。
また、「自由に使える手段と選択肢を通じて利益を守る」と警告。個人の渡航禁止や資産凍結、エネルギー・観光業といった経済の重要分野への制裁に言及した。
一方、トルコ外務省は、EUには東地中海での掘削活動に対する管轄権はないとする声明を出し、双方の緊張関係が続いていることをうかがわせた。