ニュース速報

ワールド

ブラジルのボルソナロ大統領、新型コロナに感染 リスクなお軽視

2020年07月08日(水)10時29分

ブラジルのボルソナロ大統領は7日、新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たと明らかにした。発熱の症状があるものの、健康状態は良好という。ブラジリアで6月撮影(2020年 ロイター/ADRIANO MACHADO)

[サンパウロ/ブラジリア 7日 ロイター] - ブラジルのボルソナロ大統領は7日、新型コロナウイルス検査で陽性反応が出たと明らかにした。発熱の症状があるものの、健康状態は良好という。同国では新型コロナ感染者が160万人超、死者が6万6000人超に達しているが、ボルソナロ大統領は新型コロナの脅威を軽視し、専門家の提言を否定していた。

ボルソナロ大統領はこの日の会見でも、健康リスクを重要視しない姿勢を示し、「検査を受けていなければ、分からなかっただろうが、陽性だった」と語った。

その上で、「5日に具合が悪くなり、6日に悪化した。疲労感や筋肉の痛みがあり、熱が38度に達した」と説明した。その後、マスクを外して笑顔を見せながら「気分は良好で落ち着いている」とアピールする場面もあった。

抗マラリア薬「ヒドロキシクロロキン」を服用しているとも述べた。同薬はトランプ米大統領がコロナ治療薬として有望と主張していたが、有効性は証明されていない。

ボルソナロ大統領は、新型コロナ感染症のリスクが誇張されているとの主張を繰り返し、ほとんどのブラジル国民は心配無用だとした。

また、ビデオ会議形式で職務を続ける意向を示した。

米ホワイトハウスの報道官は、ボルソナロ大統領の健康状態に関して「早期の回復を願っている」と述べた。

大統領の感染を受け、濃厚接触者の追跡と検査が実施されるとみられる。大統領はここ数日間にゲジス経済相、バンコ・ブラデスコの会長、エンブラエルの最高経営責任者(CEO)らと会談している。

ゲジス経済相に感染の兆候はなく、先週の検査では陰性だったが、今後4日以内に新たに検査を受ける予定だという。

また先週末は複数のイベントに参加し、4日の米独立記念日には米国のチャップマン駐ブラジル大使とも接触する機会があった。この時撮影された写真によると、マスクは着用していなかった。

ブラジリアの米国大使館はツイッターで、チャップマン大使が4日にボルソナロ大統領や息子のエドゥアルド・ボルソナロ下院議員、閣僚5人らと昼食を共にしたと明らかにした。大使は検査で陰性だったものの、引き続き隔離措置を取るという。

世界保健機関(WHO)の米州地域事務局、汎米保健機構(PAHO)の伝染病担当責任者マルコス・エスピナル氏は、ボルソナロ大統領の「早期回復」を願うとした上で、「(大統領の感染は)このウイルスが予測不可能で、人種や地位にかかわらず、感染する可能性があるというメッセージを発している」と指摘。ブラジルで社会的距離の確保とマスク利用の一段の強化が必要であることを示していると述べた。

世界の政府要人ではこれまでに英国のジョンソン首相、ホンジュラスのエルナンデス大統領も新型コロナに感染している。

大統領は公共の場でマスクを着用するルールをたびたび無視し、裁判所にマスク着用を命じられた後もその姿勢は変わらなかった。

3月の国民向けテレビ演説では「もしわたしが感染しても、心配はしない。せいぜい軽いインフルエンザか風邪かのようなものだろう」と述べていた。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ホンダ、半導体不足打撃で通期予想を下方修正 四輪販

ワールド

ロシアの限定的なNATO攻撃、いつでも可能=ドイツ

ビジネス

FRB、近くバランスシート拡大も 流動性対応で=N

ビジネス

再送-TOPIX採用企業は今期6.6%減益予想、先
MAGAZINE
特集:高市早苗研究
特集:高市早苗研究
2025年11月 4日/2025年11月11日号(10/28発売)

課題だらけの日本の政治・経済・外交を初の女性首相はこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    「遺体は原型をとどめていなかった」 韓国に憧れた2人の若者...最悪の勘違いと、残酷すぎた結末
  • 4
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 5
    「これは困るよ...」結婚式当日にフォトグラファーの…
  • 6
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 7
    クマと遭遇したら何をすべきか――北海道80年の記録が…
  • 8
    NY市長に「社会主義」候補当選、マムダニ・ショック…
  • 9
    「なんだコイツ!」網戸の工事中に「まさかの巨大生…
  • 10
    なぜユダヤ系住民の約半数まで、マムダニ氏を支持し…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎の存在」がSNSで話題に、その正体とは?
  • 3
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読み方は?
  • 4
    9歳女児が行方不明...失踪直前、防犯カメラに映った…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 7
    「日本のあの観光地」が世界2位...エクスペディア「…
  • 8
    だまされやすい詐欺メールTOP3を専門家が解説
  • 9
    虹に「極限まで近づく」とどう見える?...小型機パイ…
  • 10
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    英国で「パブ離れ」が深刻化、閉店ペースが加速...苦肉の策は「日本では当たり前」の方式だった
  • 3
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になり…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 8
    【クイズ】クマ被害が相次ぐが...「熊害」の正しい読…
  • 9
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 10
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中