ニュース速報

ワールド

ギリアドのコロナ新薬治験で肯定的な暫定結果、ファウチ所長「意義大きい」

2020年04月30日(木)13時23分

トランプ米大統領は29日、ギリアド・サイエンシズが新型コロナウイルス感染症治験薬「レムデシビル」の臨床試験で有望なデータを得たとするニュースを歓迎すると述べた。写真はトランプ氏と米国立アレルギー・感染症研究所のファウチ所長。22日撮影(2020年 ロイター/JONATHAN ERNST)

[29日 ロイター] - 米国立衛生研究所(NIH)傘下の国立アレルギー・感染症研究所は29日、ギリアド・サイエンシズの新型コロナウイルス感染症治療薬候補「レムデシビル」の臨床試験で、患者の回復が31%早まったとの暫定結果が得られたと明らかにした。

同研究所のファウチ所長は、この結果は「非常に意義が大きい」と述べ、レムデシビルは新型コロナウイルス感染症の「標準的な治療薬」になる可能性があると述べた。

同研究所が新型コロナ感染症の入院患者1063人を対象に実施した臨床試験では、レムデシビルを投与した患者が11日で回復したのに対し、プラセボ(偽薬)を投与した場合は15日を要した。

ファウチ所長はホワイトハウスで記者団に「極めて重要」な結果だと強調した。現状はエイズウイルス(HIV)の治療薬開発で苦戦していた1986年の状況に類似しているとも述べた。

米食品医薬品局(FDA)は、レムデシビルをできる限り早期に患者に届けるためにギリアドと協議していると明らかにしたが、同薬の認可計画に関してはコメントを控えた。

トランプ米大統領は、FDAがレムデシビルの緊急使用許可を出すことを望むかどうか問われ、「できる限り早期に対応して欲しい」と述べた。「全て安全である必要はあるが、特に効果があるものについては非常に早期の承認を望む」とした。

ギリアドの株価は5.7%高で引けた。年初からは27%上昇している。

政府の治験とは別に、同社はこの日、臨床試験で早期にレムデシビルを投与された入院患者の62%が退院したとし、治療の早い段階でレムデシビルを投与すれば、患者の改善が望める可能性が示されたと発表した。試験はプラセボ(偽薬)比較なしに重症の入院患者397人を対象に行われた。[nL4N2CH22V]

国立アレルギー感染症研究所の試験は大規模で、実薬と偽薬を分からないようにする二重盲検の手法によるランダム化比較試験のため、治療の第一線に立つ医師からも結果が注目されていた。

ギリアドは今月、現在の供給可能量であるレムデシビル150万回投与分を病院に寄付する用意があると表明している。治療の期間にもよるが、14万人以上の患者を治療できる量だ。商用化にはFDAの承認が必要となる。

ギリアドのダニエル・オデイ最高経営責任者(CEO)は29日、公開書簡で「世界的に生産能力や生産量を拡大するため、製薬会社、化学メーカーのグローバルな企業連合の設立に取り組んでいる」と表明。

また、より広範な患者を治療できるよう、異なる製法や供給方法について調査していることも明らかにした。

国立アレルギー感染症研究所の試験ではまた、レムデシビルを投与された患者の死亡率は8%と、偽薬投与者の11.6%を下回った。ただ、統計学的に意義のある差ではなかった。

同試験の首席研究者は前週、ロイターのインタビューで、結果の全容が早ければ5月半ばまでに明らかになる可能性があると述べていた。[nL3N2CC40G]

一方、米シンクタンク、ウィルソン・センターのグローバル・フェロー、ローレンス・アルトマン氏は、暫定試験結果はレムデシビルの有効性について「わずかな望み」をもたらしているが、「他の研究のまちまちな結果との比較」によるさらなる科学的分析が必要だと指摘した。

同日に医学誌ランセットで発表された中国の臨床試験のデータからは、レムデシビル投与による効果は確認されなかった。プラセボ(偽薬)投与に比べ、レムデシビルを投与された重症の入院患者の症状の回復は早まらなかったという。

ギリアドは新型コロナの中等症の入院患者を対象とする試験も実施しており、結果の公表は来月になる見通し。

*内容を追加して再送します。

ロイター
Copyright (C) 2020 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

EXCLUSIVE-トランプ氏、原油高抑制策を検討

ワールド

トランプ氏、米地上部隊のイラン派遣巡る決定には「程

ワールド

情報BOX:G7、緊急石油備蓄の放出を検討 各国の

ワールド

仏、地中海・紅海へ海軍艦艇約12隻を派遣 同盟国防
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 4
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 5
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 6
    「巨大な水柱に飲み込まれる...」米海軍がインド洋で…
  • 7
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 8
    プーチンに迫る9月総選挙の暗雲
  • 9
    「溶けた金属のよう...」 ヨセミテ国立公園で「激レ…
  • 10
    ホルムズ海峡封鎖、石油危機より怖い「肥料ショック」
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 3
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 4
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズ…
  • 5
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 6
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...…
  • 7
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 8
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 9
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 10
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 8
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 9
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 10
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中