ニュース速報

ワールド

米大統領、失踪記者巡り国務長官をサウジへ ならず者関与示唆

2018年10月16日(火)10時19分

10月15日、トランプ米大統領は、サウジアラビア反政府記者ジャマル・カショギ氏がトルコで行方不明になった問題を巡り、ポンペオ国務長官をサウジに派遣し、サルマン国王と会談することを明らかにした。写真は8日、イスタンブールで撮影(2018年 ロイター/Murad Sezer)

[アンカラ/ワシントン 15日 ロイター] - トランプ米大統領は15日、サウジアラビア反政府記者ジャマル・カショギ氏がトルコで行方不明になった問題を巡り、ポンペオ国務長官をサウジに派遣し、サルマン国王と会談することを明らかにした。

ポンペオ長官はサウジ訪問後、トルコにも立ち寄る予定。

カショギ氏は今月2日にイスタンブールのサウジ領事館訪問後に行方不明となり、同氏が館内で殺害された疑いが指摘されている。

トランプ大統領はこの日、カショギ氏失踪を巡り、サルマン国王と電話で20分程度会談。その後、サルマン国王がカショギ氏に何が起こったのか一切分からないと述べ、疑惑を「非常に強く否定した」と記者団に明らかにした。

その上で「ならず者の殺害者が関与している可能性もある」との見方も示した。

大統領はこの発言の根拠を示しておらず、米民主党議員からは批判の声が上がった。

民主党のクリス・マーフィー上院議員はツイッターへの投稿で「『ならず者の殺害者』というばかげた見解にサウジは同調するだろう。サウジは間違いなく、このセオリーの広報として大統領を味方に付けることができるだろう」と語った。

米CNNは15日、匿名の関係筋2人の話として、サウジ当局は、カショギ氏に取り調べを行ったところ誤って死亡させたとする報告書を準備していると伝えた。サウジ政府からのコメントは得られていない。

トランプ大統領はこれについて「公式の報告書かどうか分からない」と指摘した。

またニューヨーク・タイムズ(NYT)紙は、サウジの皇太子がカショギ氏の取り調べを承認したと報道。サウジ政府は皇太子を守るため、情報機関当局者を非難しようとしているとの見方を示した。

トランプ大統領はまた、「問題を未解決のままにはしない」とし、ポンペオ長官をサウジに派遣する方針を明らかにした。

米国務省によると、ポンペオ長官は同日、サウジの首都リヤドに向かう。同省は声明で「トランプ大統領は、ワシントン・ポスト紙のジャーナリスト、ジャマル・カショギ氏の失踪問題を巡り、迅速かつオープンな調査を要請した」と述べた。

トランプ大統領は週末、カショギ氏が領事館内で殺害されたのが事実なら、サウジに「厳罰」を科すと警告。サウジはこれに対し、経済制裁の発動警告を含むいかなる脅迫も「断固拒否」すると表明、制裁を受ければ報復するとけん制した。

こうした中、カショギ氏がイスタンブールのサウジ領事館内で殺害されたことを示す音声記録をトルコ警察当局が入手したと、トルコ治安当局筋が明らかにしている。

トルコの警察当局は15日夜、サウジ領事館に入った。これより前、トルコの外交筋はトルコとサウジの合同部隊が領事館の捜索を行うとしていた。サウジ当局者はロイターに対し、合同部隊の情報を基にサルマン国王が内部調査を行うよう指示したことを明らかにした。

*見出しを修正しました。

ロイター
Copyright (C) 2018 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

日仏、円滑化協定締結に向けた協議開始で合意 パリで

ワールド

NATO、加盟国へのロシアのハイブリッド攻撃を「深

ビジネス

米製造業新規受注、3月は前月比1.6%増 予想と一

ワールド

暴力的な抗議は容認されず、バイデン氏 米大学の反戦
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国の研究チームが開発した「第3のダイヤモンド合成法」の意義とは?

  • 2

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロシア空軍基地の被害規模

  • 3

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 4

    「500万ドルの最新鋭レーダー」を爆破...劇的瞬間を…

  • 5

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 6

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 7

    「複雑で自由で多様」...日本アニメがこれからも世界…

  • 8

    中国のコモディティ爆買い続く、 最終兵器「人民元切…

  • 9

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 10

    「TSMC創業者」モリス・チャンが、IBM工場の買収を視…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる…

  • 5

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 6

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ…

  • 7

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 8

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 9

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 10

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 6

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 9

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中