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ロイター/INSEADアジア企業景況指数、第3四半期は3年ぶり低水準

2018年09月19日(水)13時44分

 9月19日、トムソン・ロイターがINSEADと共同で実施したアジア企業景況調査によると、第3・四半期のアジア主要企業の景況感指数は58と、第2・四半期の74から悪化し、2015年第4・四半期以来、約3年ぶりの低水準となった。写真は8月浙江省にある車載用リチウムバッテリーを作る工場で撮影(2018年 ロイター)

[ジャカルタ 19日 ロイター] - トムソン・ロイターがINSEADと共同で実施したアジア企業景況調査によると、第3・四半期のアジア主要企業の景況感指数<.TRIABS>は58と、第2・四半期の74から悪化し、2015年第4・四半期以来、約3年ぶりの低水準となった。

貿易摩擦の激化に対する懸念が影響した。

前期比での指数の低下は2四半期連続。低下幅は2009年の調査開始以来、最大の大きさとなった。

指数は104社の向こう6カ月の見通しを反映したもので、50が景況の改善と悪化の分岐点。調査は8月31日─9月14日に実施した。

INSEADのアントニオ・ファタス教授(経済学)は「指数の低下は景気減速の強いシグナルである可能性がある」とし、同調査の結果は歴史的にアジア太平洋地域の景気の変化と相関してきたと指摘した。

また「世界経済の拡大局面が終わらざるを得ない状況をみてきた。先進国だけでなく、新興国でも周期の終わりがみられる」とし、「今回の調査は、こうした懸念が現実であることを裏付けている」と述べた。

調査の回答者は、世界的な貿易戦争を最大のリスクに挙げた。これに次いで言及が多かったリスクは中国経済の減速と為替変動となった。

国別では、中国のサブ指数が前期の63から25に急低下し過去最低水準となり、同国として初めて50を割り込んだ。日本企業の景況感も悪化した。

米中の通商摩擦や米国の利上げなどの影響で新興国市場からの資金流出が続く中、インドルピー、インドネシアルピア、フィリピンペソは、アジア新興国通貨の中でも年初からの下げが特に目立っている。

ただ、インドネシアとインドの景況感を示すサブ指数は、タイに続いて高水準となった。

フィリピンのサブ指数は94から61に低下した。一方、調査に参加したメトロポリタン・バンク・アンド・トラストは、政府のインフラ事業推進方針やインフレ抑制措置により、見通しは引き続き明るいと回答した。

インドネシアは、通商関連リスクが他のアジア諸国よりも比較的低いとの見方が業況感を下支えしている。

ただ、同国商工会議所の副会長Widjaja Kamdani氏は、国外のリスク要因を踏まえると、国内企業は事業拡大に非常に慎重になっている、と説明した。

業界別では、建設・エンジニアリング分野のサブ指数が45と2012年以来の低水準だった。また、自動車・不動産部門の企業の見通しが最も悲観的だった。一方、金属・化学分野の業況感は最も良好だった。

*内容を追加しました。

ロイター
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