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カナダ、トランプ氏がまもなくNAFTA離脱表明と確信=当局者

2018年01月11日(木)09時17分

 1月10日、カナダは、トランプ米大統領がまもなく北米自由貿易協定(NAFTA)離脱を表明するとの確信を強めている。2017年11月撮影(2018年 ロイター/Edgard Garrido)

[ロンドン/オンタリオ(カナダ) 10日 ロイター] - カナダは、トランプ米大統領がまもなく北米自由貿易協定(NAFTA)離脱を表明するとの確信を強めている。政府筋2人が10日、明らかにした。これを受けてカナダとメキシコの通貨は下落し、米国を含む株式市場でも懸念が広がった。

米国、カナダ、メキシコの当局者は今月23─28日、モントリオールでNAFTA再交渉の第6回協議を開く。3カ国は3月末までの交渉妥結を目指すが、カナダとメキシコは米国による協定の大幅な変更提案に反発しており、隔たりは大きい。

カナダ政府筋の1人は「政府は確信を強めている。トランプ氏が離脱を表明するのに備えている」と述べた。

1994年に発効したNAFTAについて、トランプ大統領は米国内の雇用を阻害しているとして繰り返し批判している。米国は再交渉の場で、自動車部品の原産地規則などについて変更を提案してきた。

同筋によると、カナダの閣僚らは米国による離脱について、公約を守るというトランプ氏の基本姿勢を印象付けるとともに、交渉担当者に圧力をかける意図がある可能性があるとみている。

米ホワイトハウスに近い筋は、トランプ氏が「離脱したい」と述べたと語った。

ホワイトハウスの報道官は「NAFTAに関する大統領の立場に変わりはない」と述べた。

NAFTAを巡る懸念を受けてカナダ銀行(中銀)による来週の利上げ観測が弱まり、カナダドルは対米ドルで年初来安値を更新。トロント株式市場の主要指数も値下がりした。

メキシコペソも下落したが、その後下げを一部回復。主要株価指数<.MXX>は1.85%安となった。

カナダの当局者らは、トランプ氏が離脱を表明した場合でも、譲歩を引き出すための交渉戦術である可能性があると指摘。また、米議会が承認するかは疑わしいとの見方を示した。

全米商工会議所のドナヒュー会頭は年頭講演で「NAFTAからの離脱は致命的な誤り」と警告した。

NAFTAを巡る懸念は米国株式市場への重しともなった。メキシコで14の生産拠点を持つ米ゼネラル・モーターズ(GM)の株価は2.4%安で引けた。

メキシコ政府筋はロイターに「われわれは常に(米国が離脱する)可能性があると述べてきた」と語った。カナダ政府筋はトランプ氏が離脱を発表しても、協議は実務者間で継続するため、カナダは交渉の場ににとどまるとした。

*内容を追加して再送します。

ロイター
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