EU、35年のエンジン車禁止計画を撤回 業界の圧力で規則緩和
12月16日、独ベルリンで撮影。REUTERS/Axel Schmidt
Philip Blenkinsop
[ストラスブール 16日 ロイター] - 欧州連合(EU)欧州委員会は16日、EU域内の自動車業界からの圧力を受け、2035年から内燃エンジン搭載の新車販売を実質的に禁止する計画を撤回する方針を発表した。
加盟各国政府と欧州議会の承認が必要となるが、一部の非電気自動車(EV)の販売継続を認めることになる。産業大国ドイツとイタリアの自動車メーカーが規制緩和を求めていた。
ドイツのフォルクスワーゲン(VW)は「排出ガスを相殺しながら、内燃エンジン搭載車に市場を開放することは現実的であり、市場の状況に沿っている」と述べた。
一方、非営利団体クライメート・グループの交通部門責任者ドミニク・フィン氏は、今回の措置はEVに対する従来産業の「悲劇的勝利」だと指摘した。
16日に示された提案では二酸化炭素の排出量を21年比で90%削減することを目指す。35年以降の全ての新車とバンの排出量をゼロにする現在の計画から後退する。
自動車メーカーはEU域内で製造された低炭素鋼や合成燃料、あるいは農業廃棄物や使用済み食用油などの非食料バイオ燃料を使用することで、残りの排出量を相殺する必要がある。また、この計画では自動車メーカーに対し、30年から32年までの3年間の猶予期間を設け、排出量を21年比で55%削減することを求めている。一方、バンについては30年の削減目標を50%から40%に緩和する。
EV業界は、排出量目標の緩和は重要な充電インフラへの投資などを弱体化させ、よりクリーンな運転へのシフトにおいて欧州が中国にさらに後れを取ることになりかねないと警告した。





