アングル:日銀「地ならし」で国債市場不安定化、入札順調に安堵も警戒解けず
都内の日銀本店。1月23日撮影。 REUTERS/Issei Kato
Tomo Uetake
[東京 2日 ロイター] - 国債市場では、神経質な局面が継続している。日銀の植田和男総裁による12月利上げへの「地ならし」発言の織り込みは進んだ中、きょうの10年利付国債の入札が順調だったことで安心感が広がっている。一方、来週にかけては複数の年限の利付国債入札が控えているほか、来年度予算を踏まえた国債増発への懸念もくすぶっており、投資家の警戒感は解けていない。
<乏しい金利低下要因>
2日午前の円債市場では、長期金利が一時1.880%と、17年半ぶり高水準を連日で更新する場面があった。前日の日銀総裁の利上げ予告ともとれる発言を受けて市場で12月の追加利上げが強く意識される中、10年国債入札を控えた警戒感が売り(金利は上昇)を促した。
ただ、蓋を開けてみれば、10年債入札には利回り水準の高さに着目した投資家の需要が集まり、順調な結果となった。これが「ポジティブサプライズ」(SMBC日興証券の田未来シニア金利ストラテジスト)と受け止められ、午後には幅広く国債を買い戻す動きが広がり、新発10年国債利回りが1.855%まで低下。国債市場はいったん、落ち着きを取り戻した。
それでも、投資家の警戒感が解かれたわけではない。長期金利は先月14日に1.7%、同20日に1.8%の節目を上抜けるなど、その上昇ペースは足元で勢いづいている。三井住友トラスト・アセットマネジメントの稲留克俊シニアストラテジストは「米金利が何らかの理由で低下するなどの外部要因でもない限り、目先、円金利が低下しそうな材料が見つからない」と話す。
アクサ・インベストメント・マネージャーズの木村龍太郎シニア債券ストラテジストは「この状況では1.9%は壁にはならず、心理的節目となる2%の大台を意識せざるを得ない」と語る。
<複数控える相場の重し>
円債相場の重し(金利上昇の要因)は複数あるが、第一に挙げられるのは、もちろん日銀の利上げ観測の高まりだ。
日銀の植田総裁はきのう、「次回の決定会合に向けて、企業の賃上げスタンスに関して精力的に情報収集している」、「次回会合では、利上げの是非について適切に判断したい」などと発言。市場はこれを「事実上の12月利上げ宣言」(関西みらい銀行の石田武ストラテジスト)と受け止めた。
野村証券、JPモルガン証券、バークレイズ証券、ドイツ証券などが相次いで、これまで1月とみていた次回利上げのタイミングを12月に修正した。
市場では「植田総裁の発言で、もしターミナルレート(利上げサイクルの到達点となる政策金利)期待に上昇圧力が加われば、長期ゾーンを中心に金利が押し上げられる可能性がある」(三菱UFJモルガン・スタンレー証券の藤原和也債券ストラテジスト)との見方も聞かれる。
今月は日銀の金融政策決定会合が18─19日に開催されることもあり、国債の供給イベントが上旬に集中する。週内に30年債、来週に5年債、20年債と、利付国債の入札が立て続けに実施される予定となっており、これも需給面から円債相場の圧迫材料となる。
加えて今後、来年度当初予算の議論が本格化する。市場に国債増発に対する警戒感があることも、特に10年ゾーン以下の円金利に上昇圧力をかけるとみられている。
「長期金利2%への上昇にはまだ距離がある」(SMBC日興の田氏)との見方が今のところ多数派ではあるが、投資家にとっては、金利が一段と上昇するリスクに対して警戒を解くことができない時間帯が当面続く可能性が高い。
(植竹知子 編集:平田紀之、内田慎一)
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