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メタがアプリ買収巡る反トラスト法訴訟で勝訴、地裁は独占状態と認めず

2025年11月19日(水)09時46分

2025年6月11日、パリで撮影。REUTERS/Gonzalo Fuentes

Jody Godoy Mike Scarcella

[18日 ロイター] - 米メタ・プラットフォームズは、通信アプリ「ワッツアップ」と写真共有アプリ「インスタグラム」の買収が反トラスト法(独占禁止法)に違反していると連邦取引委員会(FTC)に起こされた訴訟で勝訴した。首都ワシントンの連邦地方裁判所が18日、メタは現在のソーシャルメディアで独占状態を保持していないとの見解を示した。

メタは旧社名のフェイスブック時代の2012年にインスタグラム、14年にワッツアップを買収している。

FTCは、メタが新興の競合相手をつぶす目的で多額の費用を投じて買収に動いたと指摘し、裁判所がメタに対して組織再編か、インスタグラムとワッツアップの売却を通じて市場の競争を回復する命令を出すよう求めていた。

一方メタは、FTCが中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」やグーグルの動画投稿サイト「ユーチューブ」、アップルのメッセージアプリなどがもたらす競争圧力を無視していると反論し、競合製品を自社開発する代わりに新機能に優れた企業を買収するのは正当な事業戦略だと説明していた。

連邦地裁のボーズバーグ判事も、フェイスブックが主に個人の近況更新に使われていた時代からソーシャルメディアは変化しているというメタの見解におおむね同意。「FTCが訴訟を提起した5年前に存在していた景色は大きく変わった」と述べ、障害発生時にメタのユーザーがユーチューブやティックトックを利用し、逆にそれらの代わりにメタのアプリが使われる状況を挙げた。

また判事は、メタが独占しているとされる市場からユーチューブとティックトックを除外したFTCの見方は正しくないと説明した。

FTCの広報担当者は「この決定に深く失望している。あらゆる選択肢を検討中だ」と語り、控訴に含みを残した。

米政府が起こした反トラスト法違反訴訟で、テック大手側が決定的に勝利したのは今回が初めて。アマゾン・ドット・コムも提訴しているFTCにとっては、大きな痛手となりそうだ。

ロイター
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