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トランプ氏の核実験命令、兵器インフラ企業に数十億ドルの恩恵も

2025年10月31日(金)09時31分

トランプ米大統領(写真)は10月29日夜、訪問先の韓国から国防総省に対し、核兵器の実験を「即座に」開始するよう命じたと発表した。ワシントンで5日撮影(2025年 ロイター/Aaron Schwartz)

Mike Stone

[ワシントン 30日 ロイター] - トランプ米大統領は29日夜、訪問先の韓国から国防総省に対し、核兵器の実験を「即座に」開始するよう命じたと発表した。米国は1992年以降、核実験をしていなかった。米国の核兵器インフラを支える一部の専門企業はこの命令によって、数十億ドル規模の契約を獲得する可能性がある。

米国の核兵器装備は地上発射型の核ミサイル、核ミサイル搭載の潜水艦、核爆弾やミサイルを搭載した航空機で構成されるが、トランプ氏がどの部分の実験を求めているかは分からない。

<恩恵を受けそうな企業>

防衛関連ソフトウェア企業ゴビニによると、核兵器実験に対する投資や核実験によって恩恵を受ける可能性がある企業はハネウェル・インターナショナル、BWXテクノロジーズ、チュガッチ・アラスカ、ジェイコブス・ソリューションズ、メレ・アソシエイツ、ゼネラル・アトミック・テクノロジーズなどの企業だ。これらの企業は核実験場の建設や運用、支援、関連エンジニアリングサービスに特化している。

BWXは核物質を取り扱い、ハネウェルは主要実験場を運営し、実験を実施し、核兵器備蓄の追跡を担う。メレは核兵器備蓄の一部を管理し、核物質が不正に流出しないよう監視する役割を果たしている。

ゴビニのタラ・マーフィー・ドハーティ最高経営責任者(CEO)は「核実験が再開されると、実験場の建設やエンジニアリング支援を請け負う企業に多額の政府資金をもたらすだろう」と述べた。

新たな核実験再開計画と並行して、米国は老朽化した大陸間弾道ミサイル(ICBM)「ミニットマン3」を置き換えることを目指し、地上発射型ICBM計画の近代化も進めている。

ノースロップ・グラマンは2020年に新型ICBM「センチネル」の開発を単独契約で受注しており、ロッキード・マーチン、ジェネラル・ダイナミクス、ベクテル、ハネウェル、エアロジェット・ロケットダイン、テキストロンが下請け企業として参加している。

この計画は建設中に広範な試験が必要とされ、数十年ぶりの大規模な国防近代化計画の1つとされている。

計画では老朽化したミニットマン3システムを置き換えるために、634基の新型センチネルと開発と試験を支援するための追加25基が調達される予定だ。

ロイター
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