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楽天G、カード事業の米上場を検討 PayPayの動向意識=関係者

2025年10月15日(水)15時06分

 楽天グループが、傘下の楽天カードの米国市場上場について検討していることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。写真は楽天のロゴ。ボスニア・ヘルツェゴビナのゼニカ市で2月撮影(2025年 ロイター/Dado Ruvic)

Miho Uranaka Sam Nussey

[東京 15日 ロイター] - 楽天グループが、傘下の楽天カードの米国市場上場について検討していることが分かった。事情に詳しい複数の関係者が明らかにした。通信大手ソフトバンク傘下の決済事業PayPay(ペイペイ)による米上場計画も意識した動きだという。

関係者らによると、楽天グループは9月以降、米国での上場について検討を開始。うち1人によると、検討は具体的な上場準備段階にはなく、新規株式公開(IPO)や一部株式の事業会社への売却など、複数の資金調達手段を比較する初期的な協議と位置づけられているという。

今回の検討はペイペイの米国上場計画もきっかけの一つになった。ロイターは今週、ペイペイが12月にも米国でIPOを実施する見通しとなり、投資家からは時価総額が3兆円を超えるとの試算も出ていることが分かったと報じている。

ロイターの問い合わせに対し、楽天Gからの返答は得られていない。

楽天Gの創業者で会長兼社長の三木谷浩史氏は、クレジットカードの申し込み手続きを簡素化し、より幅広い消費者層が利用できるようにすることで、日本の金融業界に変革をもたらした。楽天カードは、楽天市場や楽天銀行、楽天トラベルなどを結ぶ「楽天経済圏」の中核を担い、決済とポイント還元を通じてグループ全体の顧客循環と収益基盤を支える存在だ。

2024年12月期のNon-GAAP(特別費用を除外した)営業利益は前年比2割増の621億円、発行枚数は3200万枚を超え、ショッピング取扱高は約24兆円に達する。

楽天カードの中村晃一社長は今年3月、中期的に営業利益を1000億円に拡大する目標に言及し、個人向けに加え、法人向けカード事業にスピード感を持って取り組むと述べていた。

楽天Gは、モバイル通信事業の立ち上げによる巨額損失で苦しむ中、2年前に楽天銀行を東京証券取引所に上場させた。

2024年に金融子会社再編を検討する中で楽天カード上場の可能性も取り沙汰された経緯がある。ただ、その後再編を取りやめ、みずほフィナンシャルグループと連携を深める戦略に転換していた。楽天証券ホールディングスの東京証券取引所への上場申請も取り下げ、後に上場方針を撤回した。

みずほFGは昨年11月に、楽天カード株14.99%を約1600億円で取得すると発表。当時、同事業の企業価値を1兆円超と評価していたとされる。両社は協業してクレジットカードを発行するなどしている。

今回のIPO検討は、より高い企業評価を求める動きが強まる中で、米国市場での上場を選択肢に加える企業が増える流れとも重なる。米調査会社ディールロジックによると、米国のIPO市場は、2021年第4四半期以降最も活況となっている。

ロイター
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