EUの鉄鋼輸入枠削減案、自動車業界が反発 「行き過ぎ」と批判

10月8日 欧州自動車工業会(ACEA)は8日、欧州連合(EU)が提案した鉄鋼輸入枠の削減計画について「行き過ぎだ」と批判、欧州の自動車メーカーが原材料費の高騰と事務コストの増加のリスクに直面すると警告した。写真は2023年11月、独デュイスブルクで撮影(2025年 ロイター/Wolfgang Rattay)
[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州自動車工業会(ACEA)は8日、欧州連合(EU)が提案した鉄鋼輸入枠の削減計画について「行き過ぎだ」と批判、欧州の自動車メーカーが原材料費の高騰と事務コストの増加のリスクに直面すると警告した。
欧州委員会は7日、域内の鉄鋼産業の保護を目的として、鉄鋼製品の無関税輸入枠を2024年比で47%削減して年間1830万トンにするとともに、輸入枠超過の製品に課す関税率を現行の25%から50%に引き上げることを提案した。EU加盟各国と欧州議会の承認が必要となる。
ACEAによると、欧州の自動車メーカーは鉄鋼の直接購入分の約90%をEU内で調達しているものの、輸入枠削減がインフレを助長することを強く懸念しているという。
ACEAは声明で「鉄鋼のようなコモディティー産業にある程度の保護が必要なことは理解するが、欧州委員会の案は欧州市場を過度に保護している」と表明。
さらに、自動車メーカーは今後も一定の量と質の鉄鋼を輸入する必要があり、現行の輸入枠でも自動車用の特殊鋼材は輸入枠がすぐに使い切られていると指摘した。
また、輸入業者に原料の溶解・鋳造地を明示させる新規則についても、複雑な自動車のグローバルサプライチェーンでは運用が難しいと懸念を示した。
その上で「欧州の鉄鋼生産者とユーザーの双方のニーズをより良く調和させる必要がある」と主張した。