ニュース速報
ビジネス

活況のアジア・プライベート市場、真価問われる局面に=資産運用大手

2025年10月03日(金)14時09分

 10月2日、アジアでは非上場企業に融資や出資を行うプライベート市場が活況だが、上場市場での投資回収ルートが脆弱で信用サイクルに直面した経験も乏しいことから、やがて真価が問われる局面を迎える――。写真は、東京のビジネス街を背景に走る人々。2021年4月撮影(2025年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

Yantoultra Ngui Jun Yuan Yong

[シンガポール 2日 ロイター] - アジアでは非上場企業に融資や出資を行うプライベート市場が活況だが、上場市場での投資回収ルートが脆弱で信用サイクルに直面した経験も乏しいことから、やがて真価が問われる局面を迎える――。シンガポールで開かれた会議で、資産運用大手の幹部2人がこうした見方を示した。

デロイトのデータによると、アジア太平洋地域のプライベート市場は過去10年間で拡大し、2024年にはプライベートエクイティ(PE)企業による企業買収が1380億ドルと過去10年間で2番目に高い水準に達した。またプレキンによると、同地域で運用されているプライベートクレジット資産は14年以降で6倍強に急増し、23年9月時点で約930億ドルに達した。

プリンシパル・アセット・マネジメントの最高投資責任者(CIO)兼債券グローバルヘッドのマイケル・グーセー氏はシンガポールの会議で1日、プライベート資産への資金流入により上場市場からのリスク移転が進んだが、借り手が景気後退局面をしのげるかはまだ検証されていないとし、「プライベート市場について懸念を抱いている」と述べた。「われわれはまだ本格的なサイクルを経験していない。PEやプライベートクレジット関連の商品が約束するリターンを追い求め、莫大な資金が流れ込んでいる」と危惧を示した。

また、上場市場から大量の資金が引き揚げられてプライベート市場に流入し、よりリスクの高い発行体がプライベート市場のバランスシートに紛れ込んでいると指摘。「こうした企業は景気が悪化したときに問題を抱えることになる」と述べた。

シンガポールの政府系ファンドGICのアドバイザー、ジェフリー・ジェーンサブハキジ氏も同じ会議で2日、インドを除くとアジアの上場市場は信頼できるバリュエーションや流動性を提供していないため、アジアのPEは依然として投資回収に苦労していると述べた。

一方で「日本は非常に成功しており、付加価値のあるコーポレートガバナンス改革を進めている。韓国も非常に力を入れている。こうした取り組みは上場市場のパフォーマンスを改善し、出口(投資回収)を可能にし、PEも追随できる」とも述べた。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

焦点:シリコンバレーから兵器開発へ、「戦争」に軸足

ビジネス

安川電機、今期の営業益予想を上方修正 足元の需要な

ビジネス

日経平均は大幅続伸、終値ベースの最高値更新 半導体

ワールド

米関税の内外経済への影響、不確実性は「依然かなり大
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
特集:2025年の大谷翔平 二刀流の奇跡
2025年10月 7日号(9/30発売)

投手復帰のシーズンもプレーオフに進出。二刀流の復活劇をアメリカはどう見たか

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最悪」の下落リスク
  • 3
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 4
    「人類の起源」の定説が覆る大発見...100万年前の頭…
  • 5
    MITの地球化学者の研究により「地球初の動物」が判明…
  • 6
    イスラエルのおぞましい野望「ガザ再編」は「1本の論…
  • 7
    「元は恐竜だったのにね...」行動が「完全に人間化」…
  • 8
    女性兵士、花魁、ふんどし男......中国映画「731」が…
  • 9
    1日1000人が「ミリオネア」に...でも豪邸もヨットも…
  • 10
    【クイズ】1位はアメリカ...世界で2番目に「航空機・…
  • 1
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 2
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外な国だった!
  • 3
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び出した父親が見つけた「犯人の正体」にSNS爆笑
  • 4
    ウクライナにドローンを送り込むのはロシアだけでは…
  • 5
    iPhone 17は「すぐ傷つく」...世界中で相次ぐ苦情、A…
  • 6
    こんな場面は子連れ客に気をつかうべき! 母親が「怒…
  • 7
    【クイズ】世界で1番「がん」になる人の割合が高い国…
  • 8
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 9
    高校アメフトの試合中に「あまりに悪質なプレー」...…
  • 10
    虫刺されに見える? 足首の「謎の灰色の傷」の中から…
  • 1
    「4針ですかね、縫いました」日本の若者を食い物にする「豪ワーホリのリアル」...アジア出身者を意図的にターゲットに
  • 2
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 3
    「最悪」「悪夢だ」 飛行機内で眠っていた女性が撮影...目覚めた時の「信じがたい光景」に驚きの声
  • 4
    「中野サンプラザ再開発」の計画断念、「考えてみれ…
  • 5
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に.…
  • 6
    【クイズ】次のうち、飲むと「蚊に刺されやすくなる…
  • 7
    「我々は嘘をつかれている...」UFOらしき物体にミサ…
  • 8
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ…
  • 9
    科学が解き明かす「長寿の謎」...100歳まで生きる人…
  • 10
    「怖すぎる」「速く走って!」夜中に一人ランニング…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中