最低賃金は全国平均1121円に、引き上げ額66円で過去最大=厚労省

9月5日 厚生労働省は5日、地方の最低賃金審議会で決まった2025年度の最低賃金(時給)の改定額を取りまとめたところ、全国加重平均で1121円となったと発表した。写真は2024年2月、都内で撮影(2025年 ロイター/Issei Kato)
Kentaro Sugiyama
[東京 5日 ロイター] - 厚生労働省は5日、地方の最低賃金審議会で決まった2025年度の最低賃金(時給)の改定額を取りまとめたところ、全国加重平均で1121円となったと発表した。引き上げ額は66円で、1978年度に目安制度が始まって以降で最大。初めて全都道府県で1000円を上回った。
24年も全国加重平均で1055円と過去最大の51円の引き上げとなったが、今回はそれを上回る伸びとなった。今回決まった改定額は、各都道府県で10月1日から26年3月31日までの間に順次発効される。
最低賃金は、使用者が労働者に支払わなければならない賃金の下限額で、各都道府県ごとに定められている。毎年、公労使三者で構成する中央最低賃金審議会が目安を定め、地方の審議会が地域の実情に応じて改正額を協議する。
石破茂政権は重要政策の一つとして「2020年代に全国平均1500円」の最低賃金目標を掲げている。賃金向上を担当する赤沢亮正経済再生相は、最低賃金の1000円超えが16県にとどまっていた現状を踏まえ、状況打開に強いこだわりを示してきた。
石破首相は5日、記者団に対し、最低賃金の引き上げに対応する中小企業を政府として強力に後押ししていくと改めて表明。「プッシュ型のきめ細かい支援を徹底していきたい」と語った。
最低賃金の引き上げが消費者物価指数(CPI)のサービス価格を押し上げる可能性もある。日銀が昨年11月に公表した「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)での分析によると、最低賃金の引き上げがサービス価格を有意に押し上げることが示唆されており、「今後、最低賃金の引き上げが継続すれば、サービス価格を中心に物価が押し上げられることが見込まれる」との指摘がある。