ドイツ鉱工業生産、6月は20年以降で最低 輸出は予想上回る

8月7日、ドイツ連邦統計庁が発表した6月のドイツ鉱工業生産は前月比1.9%減少した。ロイターがまとめた市場予想の0.5%減を下回った。写真は昨年9月、ゲオルグスマリエンヒュッテにある鉄鋼生産工場で撮影(2025年 ロイター/Leon Kuegeler)
[7日 ロイター] - ドイツ連邦統計庁が7日発表した6月のドイツ鉱工業生産は前月比1.9%減少した。ロイターがまとめた市場予想の0.5%減を下回った。
新型コロナウイルスが流行していた2020年5月以降で最低となった。海外需要の減退や中国勢との競争激化が背景。
第2・四半期の鉱工業生産は1.0%減。20年上半期の水準まで減少した。
キャピタル・エコノミクスの欧州担当シニアエコノミスト、フランツィスカ・パルマス氏は、ドイツの鉱工業生産は24年に急減した後、今年に入って持ち直しているように見えたが、今回の新たなデータは25年も下降傾向が続いていることを示していると述べた。
パルマス氏はさらに「欧州と中国の成長鈍化や、中国メーカーとの競争激化がドイツの工業製品需要に重くのしかかる可能性が高いため、ドイツ産業の中期的な見通しは依然として厳しい」と指摘した。
統計庁は、5月の鉱工業生産を速報値の前月比1.2%増から0.1%減に修正した。自動車部門からの訂正によるものだと説明している。
パルマス氏によると、第2・四半期の鉱工業生産は前期比1%減となり、同四半期の国内総生産(GDP)を約0.3%押し下げる要因となった。
INGのグローバルマクロ責任者、カーステン・ブルゼスキ氏は、7日の鉱工業生産が、第2・四半期GDP速報値に下方修正という望ましくない影響をもたらす可能性があると述べた。
第2・四半期のGDP速報値は前期比0.1%減だった。
ブルゼスキ氏は「ドイツ経済が少なくとも景気循環的な回復を遂げるというわれわれの以前の見方は、非常に厳しい状態に置かれている」とし「額面通り受け取れば、鉱工業は非常に長い底打ち状態から抜け出せずにいる」と述べた。
<輸出が増加>
同時に発表された6月の輸出は前月比0.8%増。ロイターがまとめた市場予想の0.5%増を上回った。
欧州連合(EU)諸国への輸出は2.4%増加したが、非EU諸国への輸出は1.2%減少した。
対米輸出は前月比2.1%減と、3カ月連続で減少し、22年2月以来の低水準となった。
ドイツ経済は米国の関税で大きな打撃を受けるとみられている。
輸入は前月比(日数・季節調整済み)で4.2%増加した。
6月のドイツの貿易黒字は149億ユーロ(173億9000万ドル)に縮小した。前月は185億ユーロ、前年同月は203億ユーロだった。