米財務省、8─10月国債発行据え置き 買い入れ消却を拡大

米財務省が30日に発表した四半期定例入札(クオータリー・リファンディング)の概要によると、8─10月の国債発行予定額は1250億ドルになる。2018年8月撮影(2025年 ロイター/Brian Snyder)
Gertrude Chavez-Dreyfuss
[ニューヨーク 30日 ロイター] - 米財務省は30日に発表した四半期(8─10月)の国債発行計画(クオータリー・リファンディング)で発行予定額を1250億ドルに据え置く一方、買い入れ消却(バイバック)を従来の300億ドルから380億ドルに拡大した。
財務省は来週、3年債(580億ドル)、10年債(420億ドル)、30年債(250億ドル)の入札を実施する。これは種類、金額とも前回発表と同じだった。
市場流動性の向上を目的とする買い入れ消却の規模や頻度を拡大する。10年─20年債と20年─30年債の両セクターの買い入れ消却は現行の四半期につき2回から4回に増やす。ただし1回当たりの上限額は20億ドルのままとする。その他のクーポンペアは、引き続き四半期に1回、40億ドルを上限に実施する。これにより流動性支援のための買い入れ消却総額は四半期当たり300億ドルから380億ドルに増加する。
キャッシュマネジメントのための買い入れ消却も年間の上限を1200億ドルから1500億ドルに拡大する。ただ今四半期については、財務省で現在、キャッシュマネジメント関連の作業が行われているため、9月の四半期予定納税期限の前後では実施しない予定としている。
財務省は短期国債(Tビル)とインフレ連動債(TIPS)を段階的に増やす。「借入需要の予期せぬ季節的あるいは短期的な変動に対するショックアブソーバーとして短期国債を活用する」と財務省高官は説明した。短期国債は今後数日間に入札規模を小幅増加させた後、その水準で9月まで維持する。10月からさらに規模を拡大させる予定という。TIPSについては、8月の30年物リオープン(追加発行)入札の規模は80億ドルに維持するが、9月の10年物リオープン入札は190億ドルに、10月の5年物新発入札は260億ドルにそれぞれ拡大する。
ジェフリーズのチーフエコノミスト、トム・シモンズ氏は調査ノートで、「(短期国債発行に関する)この指針は、今後の発行計画発表の際でも焦点となるだろう」と指摘。「ベセント財務長官は、債務の期限を延ばすか、短期債に頼り続けるか、最善の戦略とタイミングを慎重に検討する姿勢を明確にしている。今後ある時点、おそらく米連邦準備理事会(FRB)が数回利下げした後に、クーポン発行を増やす方が魅力的になるだろう」と述べた。