FRB議長議会証言、利下げ急がずと再表明 「関税見極め必要」

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は24日、下院金融サービス委員会での証言で、トランプ大統領が求めている利下げを検討する前に、関税の引き上げで物価が押し上げられるか見極めるため、一段の時間が必要との見解を示す。2024年7月撮影(2025年 ロイター/Kevin Mohatt)
Howard Schneider
[ワシントン 24日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は24日、下院金融サービス委員会での証言で、トランプ大統領が求めている利下げを検討する前に、関税の引き上げで物価が押し上げられるか見極めるため、一段の時間が必要との見解を示した。
証言の原稿によると、パウエル議長は「今年の関税引き上げで物価が押し上げられ、経済活動が圧迫される可能性が高い」と言及。「インフレへの影響は、価格水準の一時的な変化を反映して短期的なものにとどまる可能性がある。一方、より持続的になる可能性もある。当面の間、政策スタンスの調整を検討する前に、経済の今後の動向についてより多くの情報を得られるのを待つ良好な位置につけている」とした。
その上で、経済は引き続き「堅調な状態」にあり、失業率は低く、インフレは新型コロナのパンデミック(世界的大流行)のピークをはるかに下回っていると分析した。
トランプ政権の貿易政策については、「政策の変更は続いており、経済に与える影響は依然不透明だ」とした。
証言原稿の公表を受け、金融市場では、7月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げ観測が後退。利下げは9月に行われ、年内にもう1回利下げが実施されるという観測が高まった。
その後の質疑応答でパウエル議長は、関税についてはコメントしないと述べ、「FRBの仕事はインフレを抑制することだ」とするにとどめた。
共和党議員らがトランプ大統領の要求通り金利を引き下げるべきだと示唆したことに対し、パウエル議長は、年間を通じてインフレが上昇するという見通しがエコノミスト間で広く共有されていると反論。トランプ大統領の貿易政策の主要な部分が流動的であるとして、FRBが利下げに消極的である理由を詳しく説明した。
ただ、自身や他のFRB当局者は関税によってインフレが加速すると懸念しているが、インフレは予想ほど深刻ではない可能性があるとの見方も示した。今後数カ月で関税のインフレへの影響について多くの情報が得られるとした。
また、インフレ圧力が抑制されれば利下げできる段階に達するだろうが、「急ぐ必要はない」と明言。7月の利下げが正当化される可能性があるとの見方を示した2人のFRB高官発言についての質問には、利下げの具体的な月は示さないと回答した。
中東での紛争の激化が米経済にどのような影響を及ぼすか判断するのは時期尚早だとも述べた。
パウエル議長の証言は、これまでの議会公聴会と同様、FRBの最新の政策声明とほぼ一致するものだった。