米ウォルマート、関税対応で商品値上げへ 5─7月期の利益見通し非公表

米小売り大手ウォルマートが15日発表した2025年2─4月期決算の米既存店売上高は前年同期比4.5%増えた。写真は1月、カナダ・オンタリオ州のウォルマートで撮影(2025年 ロイター/Carlos Osorio)
[15日 ロイター] - 米小売り大手ウォルマートが15日発表した2025年2─4月期決算の米既存店売上高は前年同期比4.5%増えた。LSEGがまとめたアナリスト予想平均の3.94%増を上回った。
全体の売上高は2.5%増の1656億ドルと、予想にわずかに届かなかった。調整後1株当たり利益は0.61ドル。アナリスト平均予想は0.58ドルだった。
ジョン・レイニー最高財務責任者(CFO)は、トランプ米政権の関税措置が見通せないため短期的な予想が困難なことから、第2・四半期(25年5─7月期)の営業利益と1株当たり利益の予想を公表しないと述べた。
連結売上高は、3.5─4.5%増を見込む。米国事業に関しては、5月末あるいは6月からは確実に消費者が価格上昇を実感することになるとの見方を示した。
26年1月期については、売上高が前年比3─4%増、調整後1株当たり利益が2.50─2.60ドルとする見通しを据え置いた。レイニー氏は「長期的な視点で臨むことで、通期見通しは達成できるだろう」と述べた。
米政権の関税措置を巡る不確実性を背景に、ダグ・マクミロン最高経営責任者(CEO)は声明で「可能な限り低価格とするよう最善を尽くすものの、関税の規模を踏まえ、小売りマージンが少ないことから全ての圧力を吸収することはできない」と述べた。
ウォルマートは積極的なコスト管理で低価格を維持する戦略で知られており、今回の値上げ方針は貿易戦争がいかに企業に影響を及ぼしているかを浮き彫りにしたと言える。
レイニーCFOはアナリストとの電話会議で、価格弾力性を考慮すると、発注量を減らす必要も出てくると述べた。同社は米国最大のコンテナ貨物輸入業者で、関税の影響を特に受けやすい。
ホワイトハウスのクシュ・デサイ報道官は、ウォルマートの値上げについて「消費者物価から生産者物価まで、最近のインフレ統計は全て予想を下回っている。民間需要の伸びと雇用創出も健全なままだ」と発言。「政権は関税、均衡のとれた貿易協定、急速な規制緩和、大規模な減税を通じて、今後も生活費をさらに引き下げる決意だ」と述べた。
マクミロンCEOは、コスタリカ、ペルー、コロンビアなどから輸入しているバナナ、アボカド、コーヒーといった食品については、コストの調整が難しいとの認識を示した。
アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ヤコブセン氏は「関税により、ある程度の需要破壊は起きるだろうが、完全に破綻することはないだろう」と述べた。