中国4月輸出、予想上回る8.1%増 ASEAN向けがけん引

中国税関総署が9日発表した4月の貿易統計によると、輸出は予想を大きく上回るペースで増加し、輸入は予想よりかなり小幅な減少にとどまった。写真は中国海運のコンテナ。米カリフォルニア州オークランドで4月撮影(2025年 ロイター/Carlos Barria)
[北京 9日 ロイター] - 中国税関総署が9日発表した4月の貿易統計によると、輸出は予想を大きく上回るペースで増加した。米トランプ政権による90日間の上乗せ関税停止期間中に対米輸出を急いだ海外メーカーからの需要が寄与した。一方、輸入は予想よりかなり小幅な減少にとどまった。
輸出は前年同月比8.1%増。ロイターのエコノミスト調査では1.9%増が予想されていた。米国が中国製品に対する関税を145%に引き上げる前の駆け込み需要があった3月の12.4%増からは鈍化した。
輸入は前年同月比0.2%減と、3月の4.3%減から大幅に改善した。エコノミスト予想は5.9%減だった。政府の景気下支え措置により内需が回復しつつあることが示された。
ユーラシア・グループの中国担当ディレクター、ダン・ワン氏は「東南アジア諸国連合(ASEAN)諸国は、90日間の交渉期限が7月に終了するのに間に合わせるため生産を加速させている。ASEAN諸国の生産は中国産の原材料や工業資材に大きく依存しており、これが中国の輸出は支えている」と分析した。
同氏は中国から生産拠点を移し同国から資材を輸入する動きにより、今後2カ月は中国の輸出は堅調を維持する可能性があると述べた。ただ、「中国に対する145%の関税が維持され、(ASEAN諸国と米国間の)協議が進展しなければ、貿易データは急速に悪化する恐れがある」との見方を示した。
4月の東南アジア諸国向け輸出は20.8%増加した。
4月の貿易収支は961億8000万ドルの黒字。黒字額は3月の1026億4000万ドルから減少した。
対米貿易黒字は205億ドルと、3月の276億ドルから減少した。対中貿易赤字の縮小を目指してきたトランプ大統領にとって一定の成果となった。
米中は、両国間の貿易摩擦を巡り今週末にスイスで高官協議を行う。
米国の関税は、新型コロナ禍のショックと長引く不動産市場の低迷からの回復に苦しむ中国経済に大きな打撃を与える可能性がある。内需は依然として弱く、投資家心理は脆弱だ。
ピンポイント・アセット・マネジメントのチーフエコノミスト、Zhiwei Zhang氏は「米国の関税によるダメージは4月の貿易統計には表れていない」との見方を示し、「今後数カ月で貿易データは徐々に弱まるとだろう」と予想した。