EU、950億ユーロ規模の報復措置提案 米との関税交渉決裂に備え

欧州連合(EU)の欧州委員会は8日、トランプ米政権による関税措置が交渉で撤回されなかった場合に備え、最大950億ユーロ(約1072億ドル)の米輸入品を対象にした対抗措置を提案した。写真は2024年6月、ドイツのフランクフルトで撮影(2025年 ロイター/Jana Rodenbusch)
Philip Blenkinsop
[ブリュッセル 8日 ロイター] - 欧州連合(EU)の欧州委員会は8日、トランプ米政権による関税措置が交渉で撤回されなかった場合に備え、最大950億ユーロ(約1072億ドル)の米輸入品を対象にした対抗措置を提案した。
対象品には米国産のワイン、バーボンなど蒸留酒、水産物、航空機、自動車や部品、化学製品、電気機器、健康製品、機械などが含まれる。
欧州委はEU加盟国や企業が同案への考えを表明できるよう、6月10日まで公開協議を開始し、その後最終的に決定する。
欧州委のフォンデアライエン委員長は声明で、米国との交渉に全力を尽くすとする一方、「同時にあらゆる可能性に備えて準備を続けている」と述べた。
米国の対EU関税は、鉄鋼・アルミニウム、自動車に25%、その他ほぼ全ての製品に「相互関税」として10%を課している。
欧州委によると、米関税は現在、EUの対米輸出品の70%に当たる3800億ユーロを対象にしている。米国は医薬品、半導体、重要鉱物、トラックに関しても調査を行っており、その結果97%まで上昇する可能性があるという。
EUは医薬品や半導体を対抗措置のリストに含めていない。