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中国、対米協議控え金融緩和発表 政策金利引き下げなど

2025年05月07日(水)15時00分

中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は7日、銀行の預金準備率を50ベーシスポイント(bp)引き下げると表明した。写真は2009年2月、北京で撮影(2025年 ロイター/Jason Lee)

Kevin Yao Joe Cash

[北京 7日 ロイター] - 中国人民銀行(中央銀行)の潘功勝総裁は7日、銀行の預金準備率を50ベーシスポイント(bp)引き下げると表明した。今年初の引き下げとなる。米国との貿易摩擦が続く中、景気を下支えする。

潘氏は記者団に対し、預金準備率引き下げで約1兆元(1380億ドル)の流動性が供給されると述べた。15日に実施され、預金準備率は平均6.2%となる。

昨年2月と9月に全銀行を対象とした各50bpの引き下げに続くものとなる。

人民銀は政策金利も10bp引き下げる方針。今月8日に7日物リバースレポレートを10bp引き下げ1.40%とする。これは銀行貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)の10bp引き下げにつながる。

潘氏はさらに、ハイテク関連債券の購入や、高齢者介護・サービス消費投資向け低利再貸出ファシリティーを設けると表明。農業や小規模企業を支援する同様の既存ツールも強化するという。

人民銀はまた、一部の住宅購入者向けにローンコストを引き下げる。

<「戦術的」「予防的」措置との見方>

これに先立ち、米財務省と米通商代表部(USTR)は6日、ベセント財務長官とグリアUSTR代表が今週、中国の経済担当高官とスイスで会談すると発表した。

中国株は一連のニュースを受け上昇した。

シティのアナリストはノートで「関税の影響が表面化」し始める中、今回の金融緩和策は対米協議を控えた「戦術的」措置の可能性があると指摘する。

また、アナリストによると、中国政策当局は昨年後半から金融緩和を示唆していたが、資本流出に対する懸念から、元安局面では緩和を控えていた。元がここ数日で小幅に上昇したことが、金融緩和に踏み切るきっかけとなった可能性がある。

エコノミスト・インテリジェンス・ユニットのシニアエコノミスト、Xu Tianchen氏は「ドル安で金融調整の余地が拡大したことは間違いない」とし「こうした措置が信用面に与える影響についてはあまり期待していないが、再び信頼感が生まれ、株式市場を支えることになるだろう」と述べた。

キャピタル・エコノミクスのアナリストも、金融緩和策の経済効果は「プラスに働くだろうが、小幅だろう」と指摘。信用を制約しているのは主に需要面の問題であり、供給面ではないとした上で、財政支援の方がより効果的だと述べた。

ANZのシニア中国ストラテジスト、Xing Zhaopeng氏は、米国との貿易戦争を受け、中国が経済と市場を支援しているとし「貿易交渉が長期化するのであれば、その前に国内経済を強化する必要がある」との見方を示した。

GDDCEリサーチ・インスティテューションのシニアアナリスト、マー・ホン氏も「米中貿易交渉がかなり長期化する可能性があるため、予防的な意味合いが強い」と語った。

ロイター
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