ニュース速報
ビジネス

米個人消費が鈍化、物価高や経済見通し悪化で

2025年03月25日(火)19時38分

 消費者金融会社シンクロニー・ファイナンシャルによると、米国の消費者が物価高や経済見通しの悪化を受けて消費を抑制しつつある。ニュージャージー州シコーカスで2023年6月撮影(2025年 ロイター/Siddharth Cavale)

Nupur Anand

[ニューヨーク 25日 ロイター] - 消費者金融会社シンクロニー・ファイナンシャルによると、米国の消費者が物価高や経済見通しの悪化を受けて消費を抑制しつつある。

ニューヨーク連銀の先月の発表によると、米国の家計債務残高は増加しており、自動車ローン、クレジットカード、住宅担保融資では延滞がやや増えている。

フィラデルフィア地区連銀のハーカー総裁も、消費にストレスの兆候が見られ、インフレ見通しにリスクが存在するなど、問題が差し迫っていることを示唆する危険信号が出ているとの認識を示した。

シンクロニーのマックス・アクスラー最高信用責任者は、家計はおおむね健全だが、今後の負担増加に備えて支出を抑制していると指摘。大半の顧客はローンの返済を続けていると述べた。

アクスラー氏はロイターに「全ての所得層が以前に比べて支出に慎重になっており、業界全体で購入量が減少している」と語った。

ミシガン大学が発表した3月の消費者信頼感指数は約2年半ぶりの低水準。5年先の期待インフレ率は1993年以来の水準に上昇した。

一部のエコノミストはトランプ大統領の関税が物価上昇と景気抑制につながる恐れがあると予測。

ターゲットやウォルマートといった小売業者も、買い物客が支出に慎重になっており、安売りを待ったり、低価格品への切り替えを進めていると指摘している。

アナリストは、家計支出の削減がローンの延滞や債務不履行の増加の前兆になり得るとし、債務不履行率はおおむね安定しているものの、家計悪化の先行指標として支出の動向に注目しているという。

<金融機関に影響も>

消費者が借り入れに慎重になれば、融資が減り、銀行の収入を圧迫する恐れもある。HSBCのアナリスト、ソール・マルティネス氏によると、2月の融資の伸びは業界全体で前年比5─12%鈍化した。

同氏は「鈍化は明らかで、消費が脆弱であることを示している」とし「銀行は融資の伸びが鈍化すれば、純金利収入や収入が減少する可能性がある」と指摘した。

マルティネス氏によると、家計に対する懸念は消費者金融株の重しとなっており、アメリカン・エキスプレス、キャピタル・ワン、シンクロニー、ディスカバーの株価は過去1カ月間で15─22%下落している。

また、新型コロナウイルス流行時に猶予されていた学生ローンの返済が再開され、延滞が増加するリスクも指摘されている。

ロイター
Copyright (C) 2025 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

景気一致指数3月は4カ月ぶりマイナス、部品工場事故

ワールド

中国の1─4月鉄鋼輸出は過去最高、関税見越した前倒

ワールド

台湾総統、新ローマ教皇プレボスト枢機卿に祝辞 中国

ワールド

中国レアアース輸出、4月は前月比-15.6% 輸出
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 2
    ついに発見! シルクロードを結んだ「天空の都市」..最新技術で分かった「驚くべき姿」とは?
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 5
    骨は本物かニセモノか?...探検家コロンブスの「遺骨…
  • 6
    中高年になったら2種類の趣味を持っておこう...経営…
  • 7
    恥ずかしい失敗...「とんでもない服の着方」で外出し…
  • 8
    教皇選挙(コンクラーベ)で注目...「漁師の指輪」と…
  • 9
    あのアメリカで「車を持たない」選択がトレンドに …
  • 10
    韓国が「よく分からない国」になった理由...ダイナミ…
  • 1
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 2
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つの指針」とは?
  • 3
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得る? JAXA宇宙研・藤本正樹所長にとことん聞いてみた
  • 4
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 5
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 6
    古代の遺跡で「動物と一緒に埋葬」された人骨を発見.…
  • 7
    5月の満月が「フラワームーン」と呼ばれる理由とは?
  • 8
    シャーロット王女とスペイン・レオノール王女は「どち…
  • 9
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 10
    インドとパキスタンの戦力比と核使用の危険度
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 6
    健康は「何を食べないか」次第...寿命を延ばす「5つ…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中