ニュース速報
ビジネス

エアバスに偏らず機材調達、ボーイングとの関係変わらず=JAL社長 

2024年04月24日(水)20時37分

日本航空(JAL)の鳥取三津子社長は24日、ロイターなどとのインタビューに応じ、機材は欧州航空機大手エアバスに偏らず事業計画に応じて調達する考えを示した。米ボーイングは機体の不具合が相次ぎ世界的に信頼性が揺らいでいるが、同社との関係を変えることはないとした。写真は社員の入社式で報道陣の取材に応じる鳥取社長。4月1日、東京の羽田空港で撮影(2024年 ロイター/Issei Kato)

Maki Shiraki

[東京 24日 ロイター] - 日本航空(JAL)の鳥取三津子社長は24日、ロイターなどとのインタビューに応じ、機材は欧州航空機大手エアバスに偏らず事業計画に応じて調達する考えを示した。米ボーイングは機体の不具合が相次ぎ世界的に信頼性が揺らいでいるが、同社との関係を変えることはないとした。

ボーイングを巡っては今年1月、米アラスカ航空が運航する737MAX9の側壁が一部吹き飛ぶ事故が発生。4月には米サウスウエスト航空の737-800のエンジンカバーが外れて翼のフラップに直撃するトラブルが起きた。また、787と777の安全性に関する内部告発を米航空連邦航空局(FAA)が調査している。

鳥取社長はボーイングとの関係について「長い付き合いがあり、信頼関係を保っている。課題もあると思うが、克服してくれるのではないか」と述べた。機材の調達が「エアバスに寄っていくということはなく、そのつど事業計画に適切な機種を総合的に考えて見極めて対応する」と語った。

JALは3月、エアバスからA350-900型機21機と、JALとして初めてA321neo型機11機を購入すると発表した。ボーイングには787―9型機10機を発注した。鳥取社長は、昨年からの累計発注数はボーイングとエアバスで約30機ずつだとし、今後もどちらかのメーカーに偏っていくわけではないとした。

エアバスが9日に発表した1─3月期の新規受注は170機。キャンセルはなく、JALからの発注は数字に含まれていない。これに対しボーイングは131機で、このうち5機がキャンセルされた。

4月に就任した鳥取社長は、大きく円安が進んでいることを「かなり懸念している」と述べ、どうやって日本から海外へ向かう旅客を増やすかが目下の課題で、インバウンド需要を取り込み外貨収入を増やして円安メリットも得たいとした。円安はインバウンド需要には追い風だが、アウトバウンド需要は新型コロナウイルス流行前の5割ほどしか戻っていないとし、同社が需要喚起に取り組むとともに、政府の支援策にも期待を示した。

また、円安などに伴う燃油費高騰もサーチャージやヘッジで吸収できない場合、サービス品質を向上しつつ、国際線を中心に運賃への価格転嫁も必要になるとの見方を示した。為替は「(1ドル)130円くらいになるといいと(社内で)よく話している」と語った。

(白木真紀 編集:久保信博)

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:トランプ氏なら強制送還急拡大か、AI技術

ビジネス

アングル:ノンアル市場で「金メダル」、コロナビール

ビジネス

為替に関する既存のコミットメントを再確認=G20で

ビジネス

米国株式市場=上昇、大型ハイテク株に買い戻し 利下
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ暗殺未遂
特集:トランプ暗殺未遂
2024年7月30日号(7/23発売)

前アメリカ大統領をかすめた銃弾が11月の大統領選挙と次の世界秩序に与えた衝撃

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理由【勉強法】
  • 2
    BTS・BLACKPINK不在でK-POPは冬の時代へ? アルバム販売が失速、株価半落の大手事務所も
  • 3
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子どもの楽しい遊びアイデア5選
  • 4
    キャサリン妃の「目が泳ぐ」...ジル・バイデン大統領…
  • 5
    地球上の点で発生したCO2が、束になり成長して気象に…
  • 6
    カマラ・ハリスがトランプにとって手ごわい敵である5…
  • 7
    トランプ再選で円高は進むか?
  • 8
    拡散中のハリス副大統領「ぎこちないスピーチ映像」…
  • 9
    中国の「オーバーツーリズム」は桁違い...「万里の長…
  • 10
    「轟く爆音」と立ち上る黒煙...ロシア大規模製油所に…
  • 1
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラニアにキス「避けられる」瞬間 直前には手を取り合う姿も
  • 2
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを入れてしまった母親の後悔 「息子は毎晩お風呂で...」
  • 3
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」、今も生きている可能性
  • 4
    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…
  • 5
    「習慣化の鬼」の朝日新聞記者が独学を続けられる理…
  • 6
    【夏休み】お金を使わないのに、時間をつぶせる! 子…
  • 7
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 8
    「失った戦車は3000台超」ロシアの戦車枯渇、旧ソ連…
  • 9
    「宇宙で最もひどい場所」はここ
  • 10
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った…
  • 1
    中国を捨てる富裕層が世界一で過去最多、3位はインド、意外な2位は?
  • 2
    ウクライナ南部ヘルソン、「ロシア軍陣地」を襲った猛烈な「森林火災」の炎...逃げ惑う兵士たちの映像
  • 3
    ウクライナ水上ドローン、ロシア国内の「黒海艦隊」基地に突撃...猛烈な「迎撃」受ける緊迫「海戦」映像
  • 4
    ブータン国王一家のモンゴル休暇が「私服姿で珍しい…
  • 5
    正式指名されたトランプでも...カメラが捉えた妻メラ…
  • 6
    韓国が「佐渡の金山」の世界遺産登録に騒がない訳
  • 7
    すぐ消えると思ってた...「遊び」で子供にタトゥーを…
  • 8
    月に置き去りにされた数千匹の最強生物「クマムシ」…
  • 9
    メーガン妃が「王妃」として描かれる...波紋を呼ぶ「…
  • 10
    「どちらが王妃?」...カミラ王妃の妹が「そっくり過…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中