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インタビュー:海外アセマネへの投資に関心、インドでシェア5%へ=第一生命HD社長

2024年04月17日(水)17時05分

 第一生命ホールディングスの菊田徹也社長(写真)は、ロイターとのインタビューで、2024年度から3カ年の新中期経営計画期間中の戦略投資3000億円を基本的には海外に充てるとし、アセットマネジメントビジネスに関心があるとした。写真は11日、都内で撮影(2024年 ロイター/Makiko Yamazaki)

Ritsuko Shimizu Makiko Yamazaki

[東京 17日 ロイター] - 第一生命ホールディングスの菊田徹也社長は、ロイターとのインタビューで、2024年度から3カ年の新中期経営計画期間中の戦略投資3000億円を基本的には海外に充てるとし、アセットマネジメントビジネスに関心があるとした。また、地域的には北米、アジア太平洋地域の成長に加え、インドでのシェアアップに意欲を示した。

新中計では、海外保険事業の修正利益を22年度の764億円から26年度にほぼ倍増となる1600億円に拡大させる計画。菊田社長は「3年間で戦略投資枠3000億円をみており、一部は国内生保で使うが、基本的には海外の買収案件が投資対象になる」とした。戦略投資で修正利益300億円程度をカバーする計画だ。

戦略投資については「資本効率を重視しており、資本負荷の低いアセットマネジメントビジネスは非常に魅力」と述べ、伝統的な有価証券運用だけでなく、プライベートアセットやオルタナティブ資産の領域に「非常に関心が高い」とした。

同社は3月に米オルタナティブ運用会社、キャニオン・パートナーズ・グループへの出資を決定。今後も、特定の領域に強みを持つところを投資対象としていきたいという。

地域的には、引き続き、世界最大の保険市場である北米とアジア太平洋地域が海外事業の基盤となる。加えて、インドについても「今は業界10位でシェアが2%しかないが、シェア5%、業界順位5位以内が目標。それに向かって資源の投入を進めたい」と語った。

インドは2009年に出資比率26%で合弁会社を設立。その後、45.94%まで出資比率を引き上げている。現在、外資の出資制限が75%まで引き上げられており「タイミングがいつになるか分からないが、マジョリティ出資を視野に入れたい」とした。

同社は、市場リスクを削減することで、資本コストを安定的に上回る資本効率を達成、成長投資を加速するなどし、26年度末に時価総額6兆円(現在2.4兆円)、30年には10兆円を目指している。また、アセマネを含む非保険領域の利益貢献を現在の数%から30年には10%に引き上げたい考え。

<べネワン買収、条件整い決断>

同社は、エムスリーが株式公開買い付け(TOB)を開始していた福利厚生代行のベネフィット・ワンに対抗TOBを提案。TOBは成立し、5月に完全子会社化する。べネワンは、同社の非保険領域拡大戦略の中核を担うことになる。

菊田社長は「非保険領域への進出はずっと検討しており、ベネフィット・ワンも調べ、純投資していた」と話す。加えて、昨年8月に経済産業省が「企業買収における行動指針」を公表したことも「大きなきっかけ」になり「いろいろな意味で条件が整っていたため決断できた」と振り返る。

ただ、買収規模が約3000億円と大きかったことや、買収後の経営統合作業(PMI)は可能かなど「取締役会ではかなり深い議論が行われた」という。今後3年間でべネワンの新規会員を200万人獲得するほか「べネワンのプラットフォームの強化に資するようなミッシングパーツがあれば出資・提携していきたい」とした。

*インタビューは11日に実施しました。

ロイター
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