ニュース速報
ビジネス

アングル:米資産運用会社、中国株反発に備えETF投入 割安感に期待

2024年02月20日(火)15時11分

 中国株式市場は3年連続で下落し、米政府も対中強硬姿勢を強めているが、一部の米資産運用会社は中国株が反発した場合に資金流入が見込める上場投資信託(ETF)を投入している。写真は上海証券取引所の株価ボード。2020年2月撮影(2024年 ロイター/Aly Song)

Suzanne McGee Megan Davies

[20日 ロイター] - 中国株式市場は3年連続で下落し、米政府も対中強硬姿勢を強めているが、一部の米資産運用会社は中国株が反発した場合に資金流入が見込める上場投資信託(ETF)を投入している。

中国優良株で構成するCSI300指数は不動産危機、景気減速、地政学的な緊張を背景に3年前の過去最高値から43%下落。一部の米資産運用会社は、株価に割安感が出ており、投資家が市場に戻ってくると期待している。

モーニングスター・ダイレクトによると、CSI300指数の株価収益率(PER)は現在12倍。米S&P総合500種指数の24倍を下回っている。

中国ETFを提供するクレーンシェアーズのジョナサン・クレーン最高経営責任者(CEO)は「久しく見たことがないバリュエーションで中国株を購入できる一世一代のチャンスかもしれない」と指摘。

同社は2021年以降、中国ETFを新たに4本設定。13年に立ち上げたクレーンシェアーズCSIチャイナ・インターネット・ファンドは運用資産が約50億ドルに達する最大級の中国ETFだ。

JPモルガン・アセット・マネジメントのETFソリューション部門グローバル責任者、ブライオン・レイク氏は「世界2位の経済大国が投資家のポートフォリオで役割を果たさないはずがない」と指摘。同社は23年3月にJPモルガン・アクティブ・チャイナETFを立ち上げた。運用資産は約920万ドルだ。

モーニングスターによると、23年に米国で設定された中国ETFは4本。22年は2本、21年は8本だった。23年末時点では米国を拠点とする中国ETFが48本存在する。ここ数年はほぼ横ばいだが、過去10年で46%増加している。

<閉鎖するETFも>

ただ、中国市場は、米当局による対中投資の監視や中国の予測不能な規制環境など、経済・政治面の課題を抱えている。

一部の中国ETFは地合いの悪化を受けて閉鎖。グローバルXファンドは、セクター別の中国ETF11本のうち10本の閉鎖を計画している。平均運用資産は700万ドル。残る1本はグローバルXチャイナMSCI一般消費財ETFで、運用資産は2億1540万ドルと11本中最大だ。

モーニングスターのETFストラテジスト、ブライアン・アーマー氏は「(グローバルXは)中国で広範な景気回復が進み、セクター別ファンドに資金が流入するという過度な期待を抱いていだのだろう」と述べた。

<戦略的投資の「部品」に>

ただ、中国ETFを投入する資産運用会社は、実績のある確立されたETFを用意しておくことで、中国市場が反発した場合に大きな利益を得られると期待している。

通常、ETFの新規設定には少なくとも6カ月かかる。新たな分野に進出する資産運用会社の場合、それ以上の時間を要する可能性もある。実績のあるETFを準備しておけば、資金が急ピッチで流入し、小さなETFが一夜にして大型ETFに生まれ変わることも考えられる。

約30年前から中国に投資しているマシューズ・アジアは22年7月以降、中国などアジアに投資するETFを12本設定。「潮目が変わった場合の商品の準備はできている」と述べた。

同社は昨年7月にマシューズ・チャイナ・アクティブETFを、今年1月中旬には小型成長株に投資するマシューズ・チャイナ・ディスカバリー・アクティブETFを立ち上げた。

ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズのSPDR米州リサーチ責任者、マシュー・バルトリーニ氏は「ETFシリーズに中国ETFを用意しておくのは完璧に理にかなう可能性がある」とし、世界2位の経済大国である中国にエクスポージャーを取りたい投資家が戦略的に活用する「部品」になるだろうと指摘した。

ロイター
Copyright (C) 2024 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

トランプ米大統領、日韓などアジア歴訪 中国と「ディ

ビジネス

ムーディーズ、フランスの見通し「ネガティブ」に修正

ワールド

米国、コロンビア大統領に制裁 麻薬対策せずと非難

ワールド

再送-タイのシリキット王太后が93歳で死去、王室に
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した国は?
  • 2
    シンガポール、南シナ海の防衛強化へ自国建造の多任務戦闘艦を進水 
  • 3
    「信じられない...」レストランで泣いている女性の元に現れた「1羽の野鳥」が取った「まさかの行動」にSNS涙
  • 4
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 5
    熊本、東京、千葉...で相次ぐ懸念 「土地の買収=水…
  • 6
    「宇宙人の乗り物」が太陽系内に...? Xデーは10月2…
  • 7
    為替は先が読みにくい?「ドル以外」に目を向けると…
  • 8
    アメリカの現状に「重なりすぎて怖い」...映画『ワン…
  • 9
    メーガン妃の「お尻」に手を伸ばすヘンリー王子、注…
  • 10
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 4
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
  • 5
    超大物俳優、地下鉄移動も「完璧な溶け込み具合」...…
  • 6
    【クイズ】1位は「蚊」...世界で「2番目に」人間を殺…
  • 7
    中国レアアース輸出規制強化...代替調達先に浮上した…
  • 8
    報じられなかった中国人の「美談」
  • 9
    【2025年最新版】世界航空戦力TOP3...アメリカ・ロシ…
  • 10
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 3
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 4
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 5
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 6
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中