ニュース速報
ビジネス

米国債格付け見通し「ネガティブ」に引き下げ=ムーディーズ

2023年11月11日(土)16時36分

格付け会社ムーディーズは、米国債の格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ」に引き下げた。8月、ワシントンで撮影(2023年 ロイター/Kevin Wurm/File Photo)

[10日 ロイター] - 格付け会社ムーディーズは10日、米国債の格付け見通しを「ステーブル(安定的)」から「ネガティブ」に引き下げた。米財政赤字の高止まりと債務支払い能力の低下を理由に挙げた。

長期発行体格付けおよびシニア無担保格付けは最高位の「Aaa(トリプルAに相当)」で維持した。米国の高い信用力と経済力が裏付けとなっている。

ムーディーズは声明で「議会内で政治的二極化が継続」していることで、債務支払い能力の低下を遅らせるための財政計画が議会でまとまらないリスクが高まっていると指摘。

ムーディーズのシニアバイスプレジデント、ウィリアム・フォスター氏はロイターに、2024年大統領選を前に政治的二極化が予算に関する意思決定を難しくすると指摘。この結果、米国の格付け見通しを再び「安定的」に戻す時期が後ずれする可能性があるとした。

「財政基盤の弱体化に対するいかなる有意義な政策対応も、恐らく25年までに講じられることはないだろう」とした。

同氏によると、ムーディーズは通常、ネガティブの見通しに関して1年半─2年の期間内に「安定的」に戻すか、格下げをするかを判断するが、この手続きが長引く可能性がある。

主要な格付け3社で米国債に最高位の格付けを維持しているのはムーディーズのみで、フィッチは8月にトリプルAから「AAプラス」に引き下げた。S&Pは11年以降、AAプラスの格付けを付与している。

アディエモ米財務次官は声明で「ムーディーズは米国のAAA格付けを維持しているが、われわれは格付け見通しのネガティブへの引き下げに同意しない」とし、「米経済は引き続き好調で、米財務省証券は世界有数の安全かつ流動性の高い資産だ」と述べた。

ホワイトハウスジャンピエール報道官は、格付け見通し引き下げについて「議会共和党の過激主義と機能不全」を反映しているという認識を示した。

議会の上下両院は政府機関の閉鎖を回避するために、現行のつなぎ予算が今月17日に期限を迎えるまでにさらなる予算措置で合意する必要がある。

LPLファイナンシャルの首席グローバルストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は「時間は刻々と過ぎており、政府閉鎖を招き得る混乱が再びわれわれを待ち受けているとの認識がじきに市場に広がるだろう」と予想した。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

エアバス機、1日にほぼ通常運航へ 不具合ソフトの更

ワールド

インドネシア貿易黒字、10月は市場予想下回る 輸出

ビジネス

設備投資7-9月期3四半期連続プラス、前四半期比で

ビジネス

エアバス機、1日にほぼ通常運航へ 不具合ソフトの更
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:ガザの叫びを聞け
特集:ガザの叫びを聞け
2025年12月 2日号(11/26発売)

「天井なき監獄」を生きるパレスチナ自治区ガザの若者たちが世界に向けて発信した10年の記録

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【銘柄】関電工、きんでんが上昇トレンド一直線...業界を様変わりさせたのは生成AIブームの大波
  • 2
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体を東大教授が解明? 「人類が見るのは初めて」
  • 3
    メーガン妃の写真が「ダイアナ妃のコスプレ」だと批判殺到...「悪意あるパクリ」か「言いがかり」か
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    「世界で最も平等な国」ノルウェーを支える「富裕税…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    コンセントが足りない!...パナソニックが「四隅配置…
  • 8
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファ…
  • 9
    中国の「かんしゃく外交」に日本は屈するな──冷静に…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで墜落事故、浮き彫りになるインド空軍の課題
  • 2
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」〈注目記事〉
  • 3
    【最先端戦闘機】ミラージュ、F16、グリペン、ラファール勢ぞろい ウクライナ空軍は戦闘機の「見本市」状態
  • 4
    7歳の息子に何が? 学校で描いた「自画像」が奇妙す…
  • 5
    100年以上宇宙最大の謎だった「ダークマター」の正体…
  • 6
    【クイズ】次のうち、マウスウォッシュと同じ効果の…
  • 7
    マムダニの次は「この男」?...イケメンすぎる「ケネ…
  • 8
    老後資金は「ためる」より「使う」へ──50代からの後…
  • 9
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 10
    128人死亡、200人以上行方不明...香港最悪の火災現場…
  • 1
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?
  • 2
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 3
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 4
    「不気味すぎる...」カップルの写真に映り込んだ「謎…
  • 5
    【写真・動画】世界最大のクモの巣
  • 6
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 7
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 8
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 9
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中