ニュース速報

ビジネス

ECB、0.5%利上げ 3月も追加利上げの意向 その後状況見極めへ

2023年02月03日(金)01時34分

欧州中央銀行(ECB)は2日の理事会で政策金利を0.5%ポイント引き上げ3%とした。5会合連続の利上げで、3月にも0.5%の追加利上げの方針を示した。本部で昨年7月撮影。(2023年 ロイター/Wolfgang Rattay)

[フランクフルト 2日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)は2日の理事会で政策金利を0.5%ポイント引き上げ3%とした。利上げは5会合連続。3月にも0.5%ポイントの追加利上げの方針を示し、高インフレとの戦いを続ける道筋を再確認した。

中銀預金金利も2%から2.5%に引き上げた。

ECBは声明で「理事会は着実なペースでの大幅利上げ路線を維持する」と指摘。「3月の次回会合でさらに50ベーシスポイント(bp)利上げする意向」とした上で、「その時点でその後の金融政策の道筋を評価する」として今後に選択肢を残した。

INGのマクログローバル主任カーステン・ブルゼスキ氏は、ECBが「3月以降の利上げ停止、もしくはペース減速の可能性に道を開いた」と述べた。

市場では利上げサイクルが近く終了する可能性があるという見方が強まり、指標となる独10年債利回りは15bp低下し2.14%となった。

しかし、ラガルドECB総裁は理事会後の記者会見で、この日の決定は利上げサイクルが終わりに近いことを意味するという解釈を否定。「着手すべきことは残っており、まだ終わっていないのは明らか」とし、ECBがインフレを2%近辺の目標に回帰させるための「路線を維持する」という見解を改めて表明した。

ECBの発するメッセージと市場の見方の乖離は、1日の米連邦準備理事会(FRB)の政策決定後の市場の動きと類似する。

FRBは1月31─2月1日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で0.25%ポイント利上げを決定。インフレ対応で峠を越えたとの認識を示しつつも、継続的な利上げが適切と改めて表明した。パウエル議長は会見で繰り返し「ディスインフレ(インフレ鈍化)」のプロセスが進んでいるという認識を示した。

ラガルド総裁はユーロ圏に関しては、ディスインフレのプロセスがすでに始まっているとは断言できないと強調。「基調的なインフレ要因は依然として強く、強固で、揺らいでいない。われわれは取り組む必要がある」と語った。

こうした中、国際通貨基金(IMF)のトビアス・エイドリアン金融資本市場局長らはブログで、インフレを目標に向け持続的に低下させるために「金利を長期間にわたり高水準に維持する必要がある公算が大きい」と金融市場に明確に示すよう世界の中央銀行に促した。「時期尚早の緩和は経済活動回復後にインフレが急激に再燃し、各国をさらなる衝撃にさらし、インフレ期待を低下させるリスクがある」と警鐘を鳴らした。

ECBはまた、5兆ユーロの債券ポートフォリオの縮小を3月から開始した後も、現行の慣行に沿って満期を迎えた債券の償還金の一部を再投資し続けると発表。継続する再投資額は従来の資産購入プログラム(APP)からの償還額と公的部門証券買い入れ(PSPP)の償還額とに比例して配分される。

ロイター
Copyright (C) 2023 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米ロ外相が「建設的な」協議、首脳会談の準備巡り=ロ

ワールド

米、ガザ停戦維持に外交強化 バンス副大統領21日に

ビジネス

メルク、米国内事業に700億ドル超投資 製造・研究

ワールド

コロンビア、駐米大使呼び協議へ トランプ氏の関税引
MAGAZINE
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
特集:脳寿命を延ばす20の習慣
2025年10月28日号(10/21発売)

高齢者医療専門家の和田秀樹医師が説く――脳の健康を保ち、認知症を予防する日々の行動と心がけ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」はどこ?
  • 2
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 3
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 4
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 5
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?
  • 7
    【インタビュー】参政党・神谷代表が「必ず起こる」…
  • 8
    ニッポン停滞の証か...トヨタの賭ける「未来」が関心…
  • 9
    TWICEがデビュー10周年 新作で再認識する揺るぎない…
  • 10
    トランプがまた手のひら返し...ゼレンスキーに領土割…
  • 1
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号返上を表明」も消えない生々しすぎる「罪状」
  • 2
    【クイズ】日本でツキノワグマの出没件数が「最も多い県」はどこ?
  • 3
    まるで『トップガン』...わずか10mの至近戦、東シナ海で「中国J-16」 vs 「ステルス機」
  • 4
    フィリピンで相次ぐ大地震...日本ではあまり報道され…
  • 5
    【クイズ】ヒグマの生息数が「世界で最も多い国」は…
  • 6
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 7
    日本で外国人から生まれた子どもが過去最多に──人口…
  • 8
    今年、記録的な数の「中国の飲食店」が進出した国
  • 9
    本当は「不健康な朝食」だった...専門家が警告する「…
  • 10
    「心の知能指数(EQ)」とは何か...「EQが高い人」に…
  • 1
    かばんの中身を見れば一発でわかる!「認知症になりやすい人」が持ち歩く5つのアイテム
  • 2
    「大谷翔平の唯一の欠点は...」ドジャース・ロバーツ監督が明かすプレーオフ戦略、監督の意外な「日本的な一面」とは?
  • 3
    カミラ王妃のキャサリン妃への「いら立ち」が話題に...「少々、お控えくださって?」
  • 4
    増加する「子どもを外注」する親たち...ネオ・ネグレ…
  • 5
    悲しみで8年間「羽をむしり続けた」オウム...新たな…
  • 6
    1000人以上の女性と関係...英アンドルー王子、「称号…
  • 7
    バフェット指数が異常値──アメリカ株に「数世代で最…
  • 8
    「日本の高齢化率は世界2位」→ダントツの1位は超意外…
  • 9
    お腹の脂肪を減らす「8つのヒント」とは?...食事以…
  • 10
    【クイズ】日本人が唯一「受賞していない」ノーベル…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中