ニュース速報

ビジネス

中国の滴滴、NY上場廃止へ 香港上場を準備

2021年12月03日(金)16時07分

中国配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)は3日、ニューヨーク証券取引所からの上場廃止手続きと香港上場準備に着手すると発表した。写真は、同社のロゴ。2021年6月30日にNYで撮影。(2021年 ロイター/Brendan McDermid)

[上海/香港 3日 ロイター] - 中国配車サービス大手の滴滴出行(ディディ)は3日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)からの上場廃止手続きと香港上場準備に着手すると発表した。6月末に上場してわずか5カ月で上場廃止に向かう。

NY上場前、中国当局は滴滴にデータ管理に関する調査を実施している間は上場を見合わせるよう要請していた。滴滴が上場を決行すると、中国サイバースペース管理局(CAC)は国家安全保障や国民の利益を理由に、滴滴のアプリの配信を停止するようアプリストア運営会社に命じ、同社には新規利用者登録を停止するよう指示した。ロイターは先週、中国の規制当局がデータのセキュリティー懸念を理由に滴滴の経営陣に対してニューヨーク市場からの上場廃止計画を策定するよう要求したと伝えていた。

滴滴は微博(ウェイボ)のアカウントで「慎重な調査に続き、NYSEからの上場廃止手続きにすぐに着手し、香港上場の準備を開始する」と表明。その後、英語の文書で取締役会で承認が下りたと発表した。必要な手続きを経て、この問題に関する株主総会を今後の適切な時期に開催すると説明した。

関係筋によると、滴滴はNY上場廃止手続きよりも香港上場手続きを優先して進め、今後3カ月でNYと香港の重複上場を完了させたい考え。NY上場廃止は2022年6月までの実施を目指しているという。

ただ、香港上場は一筋縄ではいかない可能性がある。課題の一つは、中核事業の配車サービスが中国の規制で必要とされる許可を全て取得している割合が20─30%しかない状況で、香港取引所が上場を承認するかという点だ。関係筋によると、この問題は以前から香港IPOの障害になっていたという。

滴滴は年内に中国で配車などのアプリを再開する準備を進めているとされる。年末までに当局による同社のサイバーセキュリティーに関する調査が完了することを想定しているという。

光大新鴻基の証券ストラテジスト、ケニー・ウン氏は滴滴の発表について、「ハイテク大手の将来的な上場先の決定に明確な影響を及ぼすだろう」と指摘。また、中国本土でのハイテク企業に対する現在の監督体制が今後も続くと市場は受け止めると述べた。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ

ビジネス

米EV税控除、一部重要鉱物要件の導入2年延期

ワールド

S&P、トルコの格付け「B+」に引き上げ 政策の連

ビジネス

ドットチャート改善必要、市場との対話に不十分=シカ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 6

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中