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骨太最終案、東京五輪「安全・安心な大会実現」と明記へ=政府筋
6月16日、関係者によると、新たな経済財政運営の指針(骨太方針)では今夏の東京五輪・パラリンピックについて「安全・安心な大会を実現する」との考えを新たに盛り込み、大会実現に意欲を示している。国立競技場、11日撮影(2021年 ロイター/Pawel Kopczynski)
山口貴也
[東京 16日 ロイター] - 新たな経済財政運営の指針(骨太方針)の全容が16日、判明した。今夏の東京五輪・パラリンピックについて「安全・安心な大会を実現する」との考えを新たに明記し、予定通りの開催に意欲を示した。希望する全ての国民への新型コロナウイルスのワクチン接種を10月から11月にかけ終えることも盛り込み、18日に閣議決定する。複数の政府筋が明らかにした。
先の主要7カ国(G7)首脳会議で全首脳から東京五輪開催の支持を得たことを踏まえ、記述を追加した。最終案では東京五輪について「安全・安心な大会を実現するとともに、大会の多様なレガシーを創出する」と明記した。「すべての国民が気軽にスポーツできる環境を整備し、その価値を実感できる社会を実現する」とも記した。
菅義偉首相がコロナ対策の本丸に掲げるワクチン接種では「高齢者への接種を7月末を念頭に完了させる」とした。希望する全ての対象者には「10月から11月にかけて終えることを目指す」としている。感染拡大に全力を挙げ、機動的なマクロ経済政策運営で事業・雇用・国民生活を支えることも併せて打ち出す。
当面の経済運営の課題では「デフレに決して戻さない強い決意のもと、外需を取り込みながらあらゆる政策を総動員して経済回復を確実なものとしていく」との考えを示す。グリーンやデジタル、地方の所得向上、子育て支援を柱に重点投資し、「600兆円経済の早期実現と財政健全化目標の達成を目指す」ことも盛り込んだ。
国際社会との経済連携を活用するなどして「内外の直接投資も拡大し、経常収支が安定的に黒字化する状況を維持してショックに強いマクロ経済構造を保持していく」との考えも記した。航空・空港・海事関連企業の経営基盤強化を含むインバウンド再生を通じ、「外需を日本の成長に取り込んでいく」と強調した。
2030年に80兆円、国内総生産(GDP)比12%とする新たな対日直接投資目標を掲げる一方、対日投資が技術流出を通じて国の安全を損なうことのないよう、「国際連携の充実も図りつつ、経済安全保障の取り組みを強化・推進する」とした。外為法上の投資審査・事後モニタリング(監査)について「関係府省庁の連携強化を進めつつ、執行体制の強化を図るとともに、指定業種のあり方にかかる検討を行う」とも明記した。
気候変動対応では、2030年の温室効果ガス削減目標の実現に向けて「複数年度にわたる取り組みを計画的に実施する新たな仕組みを検討する」とした。同年までに「脱炭素先行地域を少なくとも100カ所創出する」目標も新たに掲げる。
原案で示した財政目標は堅持する。2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指すと同時に、債務残高対GDP比の安定的引き下げるとしている。感染症の経済財政への影響を検証し、目標年度を再確認することも原案通り表記した。
*内容を追加しました。