ニュース速報

ビジネス

骨太最終案、東京五輪「安全・安心な大会実現」と明記へ=政府筋

2021年06月16日(水)17時37分

 6月16日、関係者によると、新たな経済財政運営の指針(骨太方針)では今夏の東京五輪・パラリンピックについて「安全・安心な大会を実現する」との考えを新たに盛り込み、大会実現に意欲を示している。国立競技場、11日撮影(2021年 ロイター/Pawel Kopczynski)

山口貴也

[東京 16日 ロイター] - 新たな経済財政運営の指針(骨太方針)の全容が16日、判明した。今夏の東京五輪・パラリンピックについて「安全・安心な大会を実現する」との考えを新たに明記し、予定通りの開催に意欲を示した。希望する全ての国民への新型コロナウイルスのワクチン接種を10月から11月にかけ終えることも盛り込み、18日に閣議決定する。複数の政府筋が明らかにした。

先の主要7カ国(G7)首脳会議で全首脳から東京五輪開催の支持を得たことを踏まえ、記述を追加した。最終案では東京五輪について「安全・安心な大会を実現するとともに、大会の多様なレガシーを創出する」と明記した。「すべての国民が気軽にスポーツできる環境を整備し、その価値を実感できる社会を実現する」とも記した。

菅義偉首相がコロナ対策の本丸に掲げるワクチン接種では「高齢者への接種を7月末を念頭に完了させる」とした。希望する全ての対象者には「10月から11月にかけて終えることを目指す」としている。感染拡大に全力を挙げ、機動的なマクロ経済政策運営で事業・雇用・国民生活を支えることも併せて打ち出す。

当面の経済運営の課題では「デフレに決して戻さない強い決意のもと、外需を取り込みながらあらゆる政策を総動員して経済回復を確実なものとしていく」との考えを示す。グリーンやデジタル、地方の所得向上、子育て支援を柱に重点投資し、「600兆円経済の早期実現と財政健全化目標の達成を目指す」ことも盛り込んだ。

国際社会との経済連携を活用するなどして「内外の直接投資も拡大し、経常収支が安定的に黒字化する状況を維持してショックに強いマクロ経済構造を保持していく」との考えも記した。航空・空港・海事関連企業の経営基盤強化を含むインバウンド再生を通じ、「外需を日本の成長に取り込んでいく」と強調した。

2030年に80兆円、国内総生産(GDP)比12%とする新たな対日直接投資目標を掲げる一方、対日投資が技術流出を通じて国の安全を損なうことのないよう、「国際連携の充実も図りつつ、経済安全保障の取り組みを強化・推進する」とした。外為法上の投資審査・事後モニタリング(監査)について「関係府省庁の連携強化を進めつつ、執行体制の強化を図るとともに、指定業種のあり方にかかる検討を行う」とも明記した。

気候変動対応では、2030年の温室効果ガス削減目標の実現に向けて「複数年度にわたる取り組みを計画的に実施する新たな仕組みを検討する」とした。同年までに「脱炭素先行地域を少なくとも100カ所創出する」目標も新たに掲げる。

原案で示した財政目標は堅持する。2025年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指すと同時に、債務残高対GDP比の安定的引き下げるとしている。感染症の経済財政への影響を検証し、目標年度を再確認することも原案通り表記した。

*内容を追加しました。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

テマセク、運用資産が過去最高 米国リスクは峠越えた

ワールド

マレーシア、対米関税交渉で「レッドライン」は越えず

ビジネス

工作機械受注、6月は0.5%減、9カ月ぶりマイナス

ビジネス

米製薬メルク、英ベローナ買収で合意間近 100億ド
MAGAZINE
特集:大森元貴「言葉の力」
特集:大森元貴「言葉の力」
2025年7月15日号(7/ 8発売)

時代を映すアーティスト・大森元貴の「言葉の力」の源泉にロングインタビューで迫る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...APB「乗っ取り」騒動、日本に欠けていたものは?
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、「強いドルは終わった」
  • 4
    「ヒラリーに似すぎ」なトランプ像...ディズニー・ワ…
  • 5
    犯罪者に狙われる家の「共通点」とは? 広域強盗事…
  • 6
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 7
    名古屋が中国からのフェンタニル密輸の中継拠点に?…
  • 8
    自由都市・香港から抗議の声が消えた...入港した中国…
  • 9
    人種から体型、言語まで...実は『ハリー・ポッター』…
  • 10
    「けしからん」の応酬が参政党躍進の主因に? 既成…
  • 1
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 2
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 3
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸せ映像に「それどころじゃない光景」が映り込んでしまう
  • 4
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 5
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 6
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 7
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、…
  • 8
    為末大×TAKUMI──2人のプロが語る「スポーツとお金」 …
  • 9
    シャーロット王女の「ロイヤル・ボス」ぶりが話題に..…
  • 10
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 4
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 5
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 6
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 7
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 8
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中