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日経平均、一時600円超す下落:識者はこうみる

2021年04月20日(火)12時03分

 4月20日 東京株式市場で日経平均は一時600円超下落し、2万9082円40銭まで下げた。写真は2020年10月、東京証券取引所で撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

[東京 20日 ロイター] - 20日の東京株式市場で日経平均は一時600円超下落し、2万9082円40銭まで下げた。下げ幅は前日の米国市場よりも大きかった。市場関係者の見方は以下の通り。

●目先は弱気、長期的には買い時

<岡三アセットマネジメント シニアストラテジスト 前野達志氏>

日本の新型コロナウイルスワクチンの接種が欧米と比較して大きく遅れていることは周知の事実だが、この状況下で緊急事態宣言が発令されるとなると、目先の経済活動に対して弱気にならざるを得ない。これから決算が本格化するなか、企業側も保守的な見通しを示すこととなるだろう。本来であれば決算前はレンジ相場になるところが、今は株を買うに買えない。さらに弱気になって売っている状態だ。

ただ、マーケットはいつまでも弱い状況ではない。今までの経験則上、緊急事態宣言発令後は感染者が減少することがわかっているほか、ワクチンは秋ごろまでに調達されるシナリオだ。米国では「Reopen(経済活動の再開)」の期待で株が買われる展開となっているように、日本でもワクチン接種のめどがある程度ついた後は、株は再び出遅れた形で買われるだろう。

目先の数週間はヘッジファンドや短期筋の売りがかさむと思われるが、長期を見据える投資家はむしろここが買いと思うだろう。決算シーズンや緊急事態宣言の発令後は悪材料出尽くしとなるのか今のところはわからないが、長期的にはそこまで弱気になる必要はないとみる。

●円高とコロナ拡大が重し、目先2万9000円割れも意識

<三井住友DSアセットマネジメント チーフマーケットストラテジスト 市川雅浩氏>

朝方の下げは、米ダウ、S&P500、ナスダックの米主要3指数の下落を受けた流れだろう。ダウやS&Pは過去最高値圏にあったことから、利食い売りが優勢となった。

その後もじりじり下げているのは、為替のドル安/円高と国内での新型コロナの感染拡大が重しになっているようだ。変異株の感染が広がっており、3回目の緊急事態宣言が近いとの警戒感は強く、リスク回避的な動きが目立っている。

目先は、日経平均で2万9000円割れも意識されそうだ。好業績が期待される決算シーズンを控えているため急激な下げはないだろうが、好決算は織り込み済みの側面もあり、ある程度は調整売りが出やすい地合いでもある。

●調整長引く可能性、保守的予想の決算に過度な期待できず

<SBI証券 投資調査部長 鈴木英之氏>

米国株式市場の下げに比べて日本株の下落幅が大きくなったが、大阪府の緊急事態宣言の可能性が出てきたなど独自の悪材料が重なったことが考えられる。さらに日経平均が25日移動平均線を下回ったことで、ヘッジ売りが出やすいなど、米株に比べてテクニカル面が悪化している点も深い押しを形成した要因になったようだ。

チャートは三角もちあいの下限に達しながらも、まだ中長期的な上昇トレンドが崩れたわけではない。現時点では個人投資家の追い証が多発するようなレベルではないが、日経平均で2万9000円台後半より上値水準ではシコリ感が生じているため、需給面の悪化から調整が長引く可能性が出てきた。

反転のきっかけになるとみられる決算発表についても、過度な期待はできない。コロナ禍に不透明感が増したことから、企業も予想について保守的な数値を出してくるとみられる。それを見越して決算を先取り買いする動きはみられず、決算を見極めたいと考える投資家が多くなるのではないか。

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