ニュース速報

ビジネス

主要国は大幅な財政出動を 米財務長官、世界経済の乖離リスク警告

2021年04月08日(木)23時55分

イエレン米財務長官は8日、コロナ危機に伴う世界経済の恒久的な乖離リスクを警告するとともに、堅調な景気回復を確保するために主要国が大幅な財政出動を行うべきと述べた。写真は2017年12月、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Jonathan Ernst/File Photo)

[ワシントン 8日 ロイター] - イエレン米財務長官は8日、新型コロナウイルス危機に伴う世界経済の恒久的な乖離リスクを警告するとともに、堅調な景気回復を確保するために主要国が大幅な財政出動を行うべきという考えを示した。

国際通貨基金(IMF)と世界銀行の運営委員会の会合で、新型コロナの流行、気候変動、高額な債務負担に取り組む途上国を主要経済国が引き続き支援する必要があると表明した。

「コロナ危機で所得格差の拡大傾向が強まる中、国内外の道筋に生じる乖離が懸念されているほか、われわれは気候変動という存亡の危機にも直面している」と指摘。「これらの問題は、強力な国際協力によってしか解決することができない」と呼び掛けた。

主要経済国による相当な財政・金融支援を受け、世界経済の見通しは大きく改善する一方、さらなる努力が必要だと強調。米国は1兆9000億ドルの追加経済対策を実施しているほか、大規模なインフラ投資計画にも取り組んでいると述べ、他の主要経済国も同様の行動を取るよう促した。

「不確実性が高く、永久に傷跡が残る恐れもある中、仕事はまだ片付いていない。主要経済国には早期に支援を打ち切ることを避けるだけでなく、堅調な回復を確保するため、何とか大規模な追加の財政支援を行ってほしい」と訴えた。

途上国については、IMFや世銀と協力して経済政策や構造改革に取り組み、必要に応じて本格的なIMFの融資プログラムを利用すべきと主張。国によっては一段と大幅な債務処理を迫られるとも付け加えた。

さらに、全ての債権者に「債務超過を長引かせ、成長ショックを悪化させる不必要な遅延」を避けるため、債務処理に関する20カ国・地域(G20)の共通枠組みを「完全かつ透明性をもって」実施するよう求めた。

世銀に対しては「変革をもたらす気候変動投資」を主導し、気候変動や環境に特化した回復に関して引き続き積極的なアジェンダを設定するよう要請。また、特に最貧国がコロナワクチンをタイムリーに入手できるよう支援することが必要とし、世銀のグループ機関である国際開発協会(IDA)の基金補充に向けた交渉の加速を支持した。米国はコロナワクチンを世界各国が共同で買い付ける枠組み「COVAXファシリティー」に対し40億ドルの拠出を約束しているとも述べ、他の国々に参加を促した。

ロイター
Copyright (C) 2021 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ダライ・ラマ「130歳以上生きたい」、90歳誕生日

ワールド

米テキサス州洪水の死者43人に、子ども15人犠牲 

ワールド

マスク氏、「アメリカ党」結成と投稿 中間選挙にらみ

ビジネス

アングル:プラダ「炎上」が商機に、インドの伝統的サ
MAGAZINE
特集:トランプvsイラン
特集:トランプvsイラン
2025年7月 8日号(7/ 1発売)

「平和主義者」のはずの大統領がなぜ? 核施設への電撃攻撃で中東と世界はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「本物の強さは、股関節と脚に宿る」...伝説の「元囚人コーチ」が説く、正しい筋肉の鍛え方とは?【スクワット編】
  • 4
    孫正義「最後の賭け」──5000億ドルAI投資に託す復活…
  • 5
    「飛行機内が臭い...」 原因はまさかの「座席の下」…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    「詐欺だ」「環境への配慮に欠ける」メーガン妃ブラ…
  • 8
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコ…
  • 9
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 10
    「登頂しない登山」の3つの魅力──この夏、静かな山道…
  • 1
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 2
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...父親も飛び込み大惨事に、一体何が起きたのか?
  • 3
    「やらかした顔」がすべてを物語る...反省中のワンコに1400万人が注目
  • 4
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 5
    仕事ができる人の話の聞き方。3位は「メモをとる」。…
  • 6
    後ろの川に...婚約成立シーンを記録したカップルの幸…
  • 7
    【クイズ】「宗教を捨てる人」が最も多い宗教はどれ?
  • 8
    普通に頼んだのに...マクドナルドから渡された「とん…
  • 9
    砂浜で見かけても、絶対に触らないで! 覚えておくべ…
  • 10
    職場でのいじめ・パワハラで自死に追いやられた21歳…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「飲み込めると思った...」自分の10倍サイズのウサギに挑んだヘビの末路
  • 3
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 4
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 9
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 10
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中