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ソニーの今期、純利益が初の1兆円超えへ ゲーム・「鬼滅」効果

2021年02月03日(水)20時12分

 2月3日 ソニーの2021年3月期の連結純利益が、初めて1兆円を超える見通しとなった。「巣ごもり」需要で好調なゲームや、大ヒットした人気アニメ「鬼滅の刃」の制作・配給に関わった音楽を含め、全ての事業で営業利益が従来予想を上回る見通しだ。写真は、同社のプレイステーション5のロゴ。2020年11月10日に都内で撮影(2021年 ロイター/Issei Kato)

[東京 3日 ロイター] - ソニーの2021年3月期の連結純利益が、初めて1兆円を超える見通しとなった。「巣ごもり」需要で好調なゲームや、大ヒットした人気アニメ「鬼滅の刃」の制作・配給に関わった音楽を含め、全ての事業で営業利益が従来予想を上回る見通しだ。

同社は3日、21年3月期の連結純利益(米国基準)予想を前年比86.4%増の1兆0850億円に上方修正した。各事業の業績が好調なことに加え、保有する株式の評価益などの計上を織り込んだ。実現すれば、18年度の9163億円を上回って過去最高を更新する。

会見した十時裕樹・副社長兼最高財務責任者(CFO)は「ロングレンジ(長期)で見ると経営力は強化されてるし、個々の事業が強くなってるのは間違いない。中期トレンドで利益水準を上げていける」と語った。

営業利益予想も前年比11.2%増の9400億円に上方修正しており、実現すればこれも18年度の8942億円を上回り、過去最高となる。

IBESがまとめたアナリスト24人のコンセンサス予想では、21年3月期通期の連結営業利益の平均値は7563億円。

営業利益は全ての事業で見通しを引き上げた。ゲーム事業は新型機「プレイステーション5(PS5)」の立ち上げ費用や価格戦略による損失計上があったものの、ソフト販売やネットワークサービスの増収で大幅増となった。十時副社長は「収益構造が大きく変化している」とした上で、「ハードウエアの世代交代の今年度に過去最高水準の利益を見込めている」と述べた。

PS5は11月の発売から12月末までに累計450万台を販売。今年度中に、先代の「PS4」の発売初年度実績である760万台以上の販売を目指す。来期にかけて強い需要を見込むが、十時副社長は部材確保の観点から現状以上の生産拡大は難しいとの考えも示した。

音楽事業は、「鬼滅」などのアニメを含む映像メディアプラットフォームの増収を踏まえて見通しを引き上げた。子会社が制作・配給に関わった「劇場版『鬼滅の刃』無限列車編」が1月末までに国内興行収入368億円で歴代1位となったほか、主題歌もヒットした。

米中対立の影響を受けた半導体事業も、見通しを上方修正した。米政府による輸出規制強化で9月に一時停止していた中国・華為技術(ファーウェイ)への出荷が、11月下旬以降に一部で再開したことで、在庫評価減の戻し入れが生じた。また、中国以外の大口顧客からの受注も想定を大きく上回っているという。在庫積み増しも進め、既存設備の稼働率を引き上げる考え。これによる稼働益も利益に貢献する。

テレビ・デジカメの製品構成が向上した家電事業や、広告宣伝費が減少した映画部門、為替差損益の改善で金融部門も、それぞれ上方修正した。

年間配当予想は1株当たり55円とした。前期実績は45円。前提為替レートは1ドル103円前後、1ユーロ126円前後とした。

金融分野を除く連結ベースの営業キャッシュフロー見通しは2200億円引き上げ8500億円とした。上振れ分は「今後の戦略投資の原資と位置付けている」(十時氏)という。エンターテイメント分野を中心に投資機会が着実に増えているとし「来年度からの次期中計では、この3年間の実績を超える規模の成長投資を実施していきたい」とした。

同日発表した20年4─12月期の営業利益は、前年同期比11.8%増の9053億円で、3四半期の累計として過去最高となった。同社は21年度から国際会計基準を任意適用する。

*1段落目の2021年の後に3月期を追加しました

(平田紀之 編集:久保信博)

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