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ECB当局者2人、2%の物価目標設定を提言

欧州中央銀行(ECB)理事会メンバーであるクノット・オランダ中銀総裁は24日、世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論で、ユーロ圏の基調インフレがようやく上向き始めた初期の兆候がある程度見られると述べる一方、そのトレンドを楽観するのは時期尚早だと指摘した。写真はオランダ議会に出席したクノット氏。2019年9月、ハーグで撮影(2020年 ロイター/Eva Plevier)
[ダボス(スイス)/フランクフルト/ヘルシンキ 24日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の物価目標について、理事会メンバーのクノット・オランダ中銀総裁とレーン・フィンランド中銀総裁が24日、インフレ目標を単純に2%に設定し、現在の「2%を下回るがこれに近い水準」との文言は廃止するべきとの考えを示した。
クノット総裁は世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)のパネル討論で、ユーロ圏の基調インフレがようやく上向き始めた初期の兆候がある程度見られると述べる一方、そのトレンドを楽観するのは時期尚早だと指摘。「基調インフレが非常に、非常にゆっくり上昇しているという初期の兆候がある程度見られるが、それを楽観するのは時期尚早だ」と述べた。
また、現在2%に近く、2%を下回るとしているインフレ目標について、説明や解釈に齟齬(そご)が生じないよう明確にすべきと指摘。「現在は『近い(close)』と『下回る(below)』という言葉を使っており、概念が伝わりにくい」とし、「理事会メンバー全員の説明が一致するようなインフレ目標であるべき」と述べた。
これより先、クノット総裁はCNBCの番組に出演し、ECBはマイナス金利の深掘りをする可能性があるものの、そうしても経済への効果はこれまでより弱く、副作用が大きいとの認識を表明。「さらなるマイナスに踏み込む可能性はあるが、われわれは、そのリターンが小さくなっていると認識している。また考慮すべき重大な副作用があることも認識している」と語った。
クノット総裁はタカ派として知られており、これまでもECBは物価目標を2%に設定し、上下に容認可能なレンジを設ける案を提案。こうしたことが実現すれば、ECBに対する一段の利下げ圧力が軽減する
この日はこのほか、レーン総裁はヘルシンキで、現在のECBの物価目標は低インフレの方向に偏っていると指摘。物価が目標を下回ることが上回ることと同様に深刻に受け止められる必要があるという意味で、ECBの物価目標はシンメトリック(対称的)なものでなければならないとの考えを示した。
その上で、現在のECBの物価目標について、2%前後でシンメトリックな物価目標を設定している他の主要中銀よりも下向きに傾いているとの見方を示した。
欧州連合(EU)統計局が17日に発表した2019年12月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)改定値は前年比1.3%上昇、前月比0.3%上昇で、いずれも速報値から改定はなかった。[nL4N29M2PI]
ただクノット総裁もラガルドECB総裁も、こうした物価の上昇は取るに足らないとの認識を表明。ラガルド氏はダボス会議で「インフレはわずかに上向いているが、ごく微小に過ぎない」とし、「情勢が根本的に変化するには、より大きな上昇が必要になる」と述べた。
ECBは23日の定例理事会で主要政策金利の据え置きを決定。同時に、物価目標を含む政策戦略の検証を開始した。[nL4N29S3MD]
ラガルド総裁はブルームバーグテレビに対し、政策戦略の見直しが完了するまでECBは政策を据え置くとの予測が金融市場で出ることがあってはならないと警告。「(ECBの政策が)自動操縦モードに設定されていると考えるのは馬鹿げている」とし、「経済がどのように展開していくか見極めたい」と述べた。[nT9N28N00Z]
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