ニュース速報

ビジネス

訂正:カナダ中銀が金利据え置き、世界経済安定化の兆候に言及

2019年12月06日(金)01時35分

カナダ銀行(中央銀行)は30日、政策金利を予想通り1.75%に据え置いた。オタワで2011年9月撮影(2019年 ロイター/CHRIS WATTIE)

[オタワ 4日 ロイター] - カナダ銀行(中央銀行)は4日(訂正)、政策金利を予想通り1.75%に据え置いた。世界経済安定化の初期兆候に言及する一方で、貿易戦争による不透明感が引き続き見通しの主要なリスクと指摘した。

中銀は昨年10月から金利を据え置いているが、将来的な政策対応は貿易摩擦による影響と個人消費や住宅動向などで示される経済の耐性を比較評価した結果次第との見解を示した。

声明では「世界経済が安定化しつつある初期の兆候が見られ、成長は今後数年にかけての小幅に加速するとみられる」とし、設備投資は第3・四半期に予想外に力強い伸びをみせたと指摘した。

一方で、「継続中の貿易摩擦や関連する不透明感はなお世界経済の重しになっており、引き続き見通しにとって最大のリスク要因だ」と警告した。

ポロズ総裁は10月、現行の景気刺激策は依然として適切だが、貿易摩擦を背景に今後数カ月間で利下げをする可能性は排除しないと述べた。また、11月にはカナダの現在の金融情勢は適切との見方を示した。

中銀は、第3・四半期の個人消費が緩やかに拡大し、住宅投資も堅調だったと指摘。「家計部門に関連する財政的脆弱性の動向を引き続き注視する」とした。

インフレは中銀目標の2%水準で、今後2年間はこの水準近辺で推移すると予想した。

中銀決定を受け、カナダドルは対米ドルで2週間ぶり高値の1.3231カナダドルを付けた。

TDセキュリティーズのストラテジスト、アンドリュー・ケルビン氏は、中銀声明について「国内経済に関する表現を見れば、かなり幅広い範囲でポジティブだ」と指摘。

BMOキャピタル・マーケッツのシニアエコノミスト、サル・グアティエリ氏は、設備投資の回復と個人消費の安定した伸びに中銀は安心しているようだとし、「貿易を巡る一部の混乱を除き、中銀はより長期にわたり様子見を続けることに満足しているようだ」と述べた。

金融市場は、中銀が2020年末まで金利を据え置くとみている。[BOCWATCH]

一方、 スコシアバンクの資本市場バイスプレジデント、デレック・ホルト氏は、声明にはタカ派的な転換も見られるとし、「中銀は、世界的な貿易政策のリスクや金融市場のリスク、米ドル調達圧力といった点で市場が知らないような何かを知っているに違いない」と述べた。

*第1段落の「30日」を「4日」に訂正しました。

ロイター
Copyright (C) 2019 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

岸田首相、「グローバルサウスと連携」 外遊の成果強

ビジネス

アングル:閑古鳥鳴く香港の商店、観光客減と本土への

ビジネス

アングル:中国減速、高級大手は内製化 岐路に立つイ

ワールド

米、原発燃料で「脱ロシア依存」 国内生産体制整備へ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受ける瞬間の映像...クラスター弾炸裂で「逃げ場なし」の恐怖

  • 2

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS攻撃「直撃の瞬間」映像をウクライナ側が公開

  • 3

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を受け、炎上・爆発するロシア軍T-90M戦車...映像を公開

  • 4

    テイラー・スウィフトの大胆「肌見せ」ドレス写真...…

  • 5

    こ、この顔は...コートニー・カーダシアンの息子、元…

  • 6

    サプリ常用は要注意、健康的な睡眠を助ける「就寝前…

  • 7

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 8

    ロシア軍の拠点に、ウクライナ軍FPVドローンが突入..…

  • 9

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 10

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドローンを「空対空ミサイルで撃墜」の瞬間映像が拡散

  • 3

    どの顔が好き? 「パートナーに求める性格」が分かる4択クイズ

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ロシア兵がウクライナ「ATACMS」ミサイルの直撃を受…

  • 6

    「2枚の衛星画像」が伝える、ドローン攻撃を受けたロ…

  • 7

    屋外に集合したロシア兵たちを「狙い撃ち」...HIMARS…

  • 8

    常圧で、種結晶を使わず、短時間で作りだせる...韓国…

  • 9

    ロシアの大規模ウクライナ空爆にNATO軍戦闘機が一斉…

  • 10

    メーガン妃の「限定いちごジャム」を贈られた「問題…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 6

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 7

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 8

    一瞬の閃光と爆音...ウクライナ戦闘機、ロシア軍ドロ…

  • 9

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 10

    NASAが月面を横切るUFOのような写真を公開、その正体…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中