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ユーロ圏の広範な景気拡大は継続へ、リスクも拡大=ドラギECB総裁
11月8日、欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は、ユーロ圏の広範な景気拡大は継続する見通しだが、貿易摩擦や資産価格の上昇といったリスクも拡大しているとの認識を示した。写真は会見する同総裁。フランクフルトで10月に撮影(2018年 ロイター/Kai Pfaffenbach)
[ダブリン 8日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は8日、ユーロ圏の広範な景気拡大は継続する見通しだが、貿易摩擦や資産価格の上昇といったリスクも拡大しているとの認識を示した。
総裁はアイルランドでの議会公聴会で「一部セクターの指標や限られた調査の結果は予想よりも幾分弱めではあるが、入手可能な最新の情報はおおむね域内やアイルランドの広範な景気拡大が継続することを示している」と述べた。
量的緩和(QE)策を年末までに終了するとともに、少なくとも来年夏にかけて金利を過去最低水準に据え置く方針を確認する一方、政策ガイダンスは既定路線ではなく、見通しが悪化すれば変更は可能とした。
総裁は中銀の政策の範疇(はんちゅう)を超える種々の不透明要因が存在するとも指摘。「保護主義的な通商措置による影響はこれまでのところ非常に限られているかもしれないが、貿易摩擦の激化が信頼感を損ねている」と語った。また英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)や金融安定などの問題への注視が必要との見解を示した。
資産価格の上昇はユーロ圏全体に広がってはいないが、一部でリスクになっているとも指摘。これらのリスクへの対応策として金融政策は適切ではないとの見方を示した。
総裁は、インフレの先行きを見通すのに重視されている名目賃金の伸びについて、徐々に改善しており、恒久的要因が多くを占めるようになったと指摘。
「ここ6─12カ月のデータは賃金が徐々に上向いていることを示している。一時的要因もあるが、恒久的要因の影響が大きくなっている」と語った。
ECBのフォワードガイダンスについては「多くの選択の余地を確保している」と説明。「状況が悪化するならば常に期間を長くすることが可能で、入手した情報に適合する形でフォワードガイダンスを変更することは常に可能だ」と述べた。
また、量的緩和策を終了しても、別の複数の経路で景気を引き続き刺激することから、国債利回りの上昇を引き起こすことは予想していないと述べた。
*内容を追加しました。