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英中銀、銀行に気候変動リスク対応を要請へ ストレステスト採用も検討
[ロンドン 26日 ロイター] - イングランド銀行(英中央銀行)は26日、国内行の多くは気候変動がもたらす事業へのリスクの最小化に向け適切な対策を取っていないとし、今後対応を求めていく方針を明らかにした。
中銀はカーニー総裁の下、気候変動に関する問題を規制措置の中心項目に据えている。総裁は「気候変動に起因する金融リスクは、銀行にとって計画立案の範囲外にある傾向がある」とし、銀行は気候変動がもたらす課題の大きさを十分に捉えていないとの見方を示した。
中銀が実施した銀行業界の90%をカバーする調査で、気候変動がもたらすリスクに対し長期的、かつ総合的な計画をもって対応していたのは10行中1行に過ぎなかったことが判明。
中銀は、洪水のリスクが高い住宅や極端な気候に見舞われる可能性のある地域への投資など、気候変動に起因する直接的で具体的なリスクは考慮され始めているとしながらも、銀行の30%が気候変動問題は企業の社会的責任(CSR)問題に過ぎないとの認識を持っていると指摘。中銀金融行政委員会(FPC)は今後、気候変動が金融安定に及ぼす恐れのあるリスクを定期的な銀行ストレステスト(健全性審査)の項目に含めるか検討していくとした。
カーニー総裁は「金融政策担当者は二酸化炭素(CO2)排出量が少ない『低炭素社会』への移行のけん引役ではないが、われわれの監督下にある企業はこうした移行に関連するリスクを管理すると当然期待している」と述べた。
カーニー氏は2015年の時点で、石炭、原油、天然ガスなどの資産の価格が再評価されているため大規模な金融リスクになる可能性があるとし、保険業界は対し差し迫った気候変動への対応が必要になると警鐘を鳴らしていた。