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米テスラ、株式非公開化巡り特別委設置 マスク氏の正式提案はまだ

2018年08月15日(水)10時24分

 8月14日、米電気自動車(EV)メーカー大手テスラの取締役会は、マスク最高経営責任者(CEO)が前週表明した株式非公開化を検討するため、3人の独立取締役で構成する特別委員会を設置した。写真は同CEO。2014年9月に東京で撮影(2018年 ロイター/Toru Hanai)

[14日 ロイター] - 米電気自動車(EV)メーカー大手テスラの取締役会は14日、マスク最高経営責任者(CEO)が前週表明した株式非公開化を検討するため、3人の独立取締役で構成する特別委員会を設置した。

ただ、マスク氏は正式な提案をまだ行っておらず、非公開化に必要となるアドバイザーの選任に向けた交渉も継続中だ。

同社は、マスク氏が前週7日に株式非公開化を考えているとツイッターで発信して以来初めて、米規制当局に資料を提出し、特別委の設置を明らかにした。

マスク氏のツイートを巡ってはテスラの株主が集団訴訟を提起し、米証券取引委員会(SEC)がマスク氏の発表の手法や内容の信頼性について調査していると報じられるなど混乱が広がっており、秩序立った手続きを開始することが急務となっていた。

マスク氏は13日、株式非公開化構想について、米金融大手ゴールドマン・サックスと買収ファンドのシルバーレイクが財務アドバイザーを務めているとツイッターで明らかにした。ただ、事情に詳しい関係者によると、14日時点でゴールドマンは同案件に関与する条件について交渉を続けている。

シルバーレイクに関してロイターは13日、正式な財務アドバイザーとしての契約は交わしておらず、無償でマスク氏に助言を与えているもようと報じた。

ゴールドマンとシルバーレイクはコメントを差し控えた。

マスク氏が7日のツイートで非公開化の資金は「確保した」と表明したことについて、証拠を示すよう求める圧力は強まっている。このため、同氏はゴールドマンといった金融大手の関与に言及したとみられる。

同氏はまた、13日に、サウジアラビアの政府系ファンド(SWF)が2年ほど前からテスラの非公開化を巡り複数回にわたり支援を申し出ていたことや、同ファンドと他の投資家との協議が継続中であることをブログで明らかにしていた。

株価は14日の取引を2.5%安の347.64ドルで終了。非公開化表明ツイートの前日の終値(341.99ドル)を依然、上回っている。マスク氏は同ツイートで、1株当たり420ドルでテスラ株を非公開化することを検討中と表明している。

<正式提案前の検討>

テスラは14日付の文書で、特別委は取締役会に代わり、マスク氏の提案に絡む取引やその代替案を検討し、交渉する権限があると説明。つまり、マスク氏の正式提案を受け取る前に、株式非公開化が望ましいかや実現可能かについて検討する見通し。

ウォール街のアナリストや投資家などは、史上最大規模となる可能性もある同非公開化構想について、必要な資金が調達できるのかや赤字企業のテスラにとって望ましい方策なのかという点をなお疑問視している。

CFRAのアナリスト、エフライム・レビー氏は「マスク氏は上場企業であることに不満があるようだが、上場維持のメリットのほうが大きいと考える」と述べ、資金調達がしやすく、メディアにも数多く取り上げられることをメリットとして挙げた。

特別委はテスラの独立取締役であるブラッド・バス氏、ロビン・デンホルム氏、リンダ・ジョンソン・ライス氏の3人で構成。

この3人以外のテスラの取締役にはマスク氏や弟のキンバル・マスク氏、21世紀フォックスのジェームズ・マードックCEOなどが含まれる。

取締役会は8日に、株式非公開化についてマスク氏とはその前の週に協議したことを明らかにしていた。

*内容を追加しました。

ロイター
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