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欧州市場サマリー(9日)

2017年11月10日(金)05時15分

[9日 ロイター] - <為替> ドルが対円で月初来の安値をつけ、主要6通貨バスケットに対しても軟調に推移した。米上院が下院と異なる内容の税制改革法案を発表する見通しで、改革を巡り懐疑的な見方が広がった。

外為市場:[USD/J]

<ロンドン株式市場> 反落して取引を終えた。事業計画が嫌気された高級品ブランドのバーバリーが売られたほか、小売りや住宅建設株も振るわなかった。

バーバリーは10.0%下落し、2012年9月以来の大幅安だった。革製品やファッションに注力し、より高級志向のブランドを目指すほか、非高級店への販売を削減する計画を発表。高いコストが不安視された。

決算が振るわなかったスーパー大手のセインズベリーは1.8%下落。これを受け英国の物価上昇圧力が不安視され、小売大手マークス・アンド・スペンサー(M&S)は2.4%の連れ安となった。小型株では百貨店のデベンハムが6.9%安となった。

英王立公認不動産鑑定士協会(RICS)が公表した10月の住宅価格指数統計で、英国の住宅価格が伸びていないことが明らかになり、住宅建設のテイラー・ウィンペイとバラット・デベロップメンツ、パーシモンは2.9%から4.0%下落した。

FT100種以外の銘柄では製薬会社ヒクマ・ファーマシューティカルズが4.1%下落。ジェネリック医薬品(後発医薬品)の売り上げ見通しを再び引き下げたことが嫌気された。

ロンドン株式市場:[.LJP]

<欧州株式市場> 下落して取引を終えた。軟調な決算が材料視され、利益確定売りが出た。

ドイツの総合電機大手シーメンスは3.7%下落した。四半期決算が振るわなかったほか、ガスタービンや風力発電事業を再編する中で向こう1年間は経営が厳しい状況となるとの見方を示した。

世界最大の風力タービンメーカー、デンマークのベスタスは19.1%急落。2017年の利幅見通しを引き下げたことが嫌気された。

ドイツ銀行のストラジストらによるとSTOXX欧州600種指数<.STOXX>の構成銘柄は1株利益(EPS)の伸びが第3・四半期に7.6%増と、勢いが鈍化した。第1・四半期は広範にわたり利益が急増し、第2・四半期は金融株が好調だった。ストラジストらは、決算は予想に沿っていると指摘。ユーロ高が力強い経済成長の影響を相殺し、市場予想を上回る利益を発表する企業の数が15年末以来の少なさだったという。

この日も銀行が注目された。イタリアの銀行株<.FTIT8300>は1.04%反発した。前日は、不良債権を巡る懸念が重しとなったほか、不良債権処理の資金として株式発行を発表したイタリアの銀行、クリーバルが大幅安となっていた。

欧州中央銀行(ECB)銀行監督委員会のヌイ委員長は9日、不良債権に関する新指針の導入を遅らせ、指針を改善する準備ができていると発言。ECBは銀行にとってより厳しい指針を公表し、欧州議会やイタリアから強い批判を浴びていた。

ドイツのコメルツ銀行は2.4%上昇。第3・四半期の純損益が黒字に転じたことが好感された。通期では純損益が「辛うじて黒字となる」との見通しを示した。

欧州株式市場:[.FJ]

<ユーロ圏債券> ドイツ国債先物に売りが出て、国債利回りが全般的に上昇した。独連邦10年債先物は前日、163.63まで値上がりしていたものの、この日は朝方の2時間で売りが膨らみ、162.50まで下げた。

DZ銀のストラテジストは「163ポイントの水準では利食い売りが出やすい」と指摘。ある市場参加者は一部の実需筋が朝方売りを出したと聞いた、と語った。ある投資マネジャーは、複数の大手機関投資家が取引中盤にかけて独10年債に大量の売りを出したと認めた。

ドイツ10年債利回りは6ベーシスポイント(bp)上昇し0.38%。周辺国債のスペイン10年債利回り、イタリア10年債利回り、ポルトガル10年債利回りも6-9bp上昇した。

INGのストラテジストは、域内で250億ー300億ユーロの新発国債発行を来週に控えていることや、相場が最近かなり値上がりしていたことなどが売りを誘ったと話した。

ECBが10月26日の理事会で資産買い入れプログラムの延長を決定したことが追い風となり、債券相場はこれまで値上がりしており、利回りは全般的に低下。米国債利回りの下げや米・ユーロ圏での落ち着いたインフレを背景に、債券相場は世界的に勢いを増している。

ユーロ圏金融・債券市場:[DE/BJ]

ロイター
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