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黒田日銀総裁、春闘に期待 今年の賃上げ上回ってもおかしくない
11月6日、黒田東彦日銀総裁は、愛知県名古屋市内で会見し、高水準の企業収益や労働需給の引き締まりが続く中で、賃金上昇圧力は着実に高まっているとの認識を示した。写真は日銀本店で10月撮影(2017年 ロイター/Toru Hanai)
[名古屋市 6日 ロイター] - 黒田東彦日銀総裁は6日午後、愛知県名古屋市内で会見し、高水準の企業収益や労働需給の引き締まりが続く中で、賃金上昇圧力は着実に高まっているとの認識を示した。そのうえで、来年の春闘での賃上げ率が今年の水準を上回ってもおかしくないと期待感を表明した。
総裁は、物価2%目標の実現に不可欠な賃上げをめぐる環境について「企業収益は過去最高水準で推移しており、失業率も2%台後半まで低下するなど労働需給が一段と引き締まっている。賃金上昇圧力は着実に高まっている」との認識を示した。
来年の春闘に向けて「さらに企業収益は改善し、労働需給はタイトになっている」とともに、労使交渉の参考となる前年の消費者物価上昇率も足元で着実にプラス幅を拡大させており、「来年の春闘では、今年よりもさらに賃上げ率が高まってもおかしくない」と指摘。
日銀として「企業収益の増加、賃金の上昇を伴いながら物価上昇率が緩やかに高まっていく好循環をつくり出していくことを目指している」とし、「労使双方で好循環の実現に向けた前向きな取り組みが行われることを期待している」と語った。
日銀が6日公表した9月開催の金融政策決定会合の議事要旨によると、片岡剛士審議委員とみられる委員が、「現在のイールドカーブは十分に緩和的かどうか疑問」と主張していたことがわかった。
これに対して総裁は「現在のイールドカーブ・コントロールで十分に適切なイールドカーブが形成されている」とし、「これを粘り強く続けることで、物価安定の目標も達成される」と述べ、さらなる緩和の必要性に慎重な見解を示した。
トランプ米大統領が2日、連邦準備理事会(FRB)次期議長にジェローム・パウエル理事を指名したことに関しては、「引き続きFRBは米国経済・世界経済も十分勘案しながら、米国経済の安定、雇用の極大化、物価の安定に向けて適切な金融政策を運営していくと思う」と語った。
(伊藤純夫)