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IMF、世界成長率見通しを3.6%に引き上げ

2017年10月11日(水)09時47分

[ワシントン 10日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は10日、世界経済見通しを発表し、世界全体の2017年の成長率予想を4月と7月の見通しから0.1ポイント引き上げ、3.6%とした。同じく18年も0.1ポイント上方修正し3.7%を見込んだ。

IMFは日本や中国、欧州新興国、ロシアの成長率見通しを引き上げた。米国は17年を7月見通しから0.1ポイント引き上げ2.2%に、18年を0.2ポイント上げ2.3%とした。

IMFは「米国は政策に先行き不透明感があるので、政策が変わらない前提で予測している」としている。米国経済の成長率は長期的には緩やかになるとみている。生産性の伸びが鈍いためだ。米国の潜在成長率は1.8%で、トランプ政権が目指す3.0%を大きく下回る。

ユーロ圏の成長率は17年が2.1%、18年が1.9%とそれぞれ0.2ポイント引き上げられた。緩和的な金融環境や政治リスクの低下で輸出が持ち直し、域内需要が強まっているためだ。ただ、IMFは、低い生産性や高齢化、一部の国の債務問題は残っていると警告している。

英国の17年成長率は7月の予測の段階で0.3ポイント引き下げられており、1.7%に据え置かれた。昨年のブレグジットの投票後、G7の中でも成長率が高い国から低い国に転落した。18年の成長率見通しが1.5%の英国よりも低いのは日本とイタリアだけだ。

IMFは、中国の成長率見通しを22年まで全般的に引き上げた。当局が拡張的な政策を維持するとの見通しに基づくものだ。17年は6.8%、18年は6.5%を見込み、7月予想からそれぞれ0.1ポイント上方修正した。

IMFは世界経済見通しを阻害する可能性がある主な要因として、「予想が困難な」米国の規制、通商、財政政策のほか、ブレグジットに伴う混乱、世界の中銀による早過ぎる利上げを挙げた。

「先進国の金融政策は、物価上昇率が目標に回帰するという確かな兆候が表れるまで緩和的であり続ける必要がある。賃金を依然として抑制している圧力はおおむね、失業率では完全に把握することができないスラック(需給の緩み)を反映しているからだ」とした。

*内容を追加します。

ロイター
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