ニュース速報

ビジネス

米7月住宅着工4.8%減、許可件数は4.1%減

2017年08月17日(木)02時26分

8月16日、7月の米住宅着工件数は年率換算で前月比4.8%減の115万5000戸と、予想の122万戸を下回った。写真は2017年2月、サンディエゴの住宅建設現場を撮影(2017年 ロイター/Mike Blake)

[ワシントン 16日 ロイター] - 米商務省が16日発表した7月の住宅着工件数(季節調整済み)は年率換算で前月比4.8%減の115万5000戸と、市場予想の122万戸を下回った。一戸建てと集合住宅がともに減少した。第2・四半期に低迷した住宅市場が回復に苦しんでいることを示唆した。

着工件数の先行指標となる建設許可の件数も4.1%減の122万3000戸だった。一戸建て住宅は横ばい、集合住宅は11.2%減だった。

6月の数字は当初発表の121万5000戸から121万3000戸へ下方改定された。

7月の前年同月比は5.6%減だった。

シティグループのエコノミスト、アンドリュー・ラベル氏は「低調だった第2・四半期から上向くと期待していたため、6月は堅調だった着工件数が7月に軟調となったことは残念だ」とした。ただ、今回低調だったのは主に価格が低い物件のほか集合住宅だったため、それほど重要視はしていないとも述べた。

住宅着工件数は7月の落ち込みを受け、歴史的な平均水準である150万戸からさらに遠ざかった。不動産業者は150万戸が供給不足を解消する水準だと言う。市場に出回る住宅が少ないことから住宅価格は上昇の一途を辿っている。

7月の内訳は、シェアが最も大きい一戸建て住宅が0.5%減の85万6000戸だった。

住宅需要は底堅いものの、一戸建て住宅の着工件数は2月に9年半ぶりの高水準をつけて以来、勢いを失っている。住宅建設業者は、骨組みを組み立てる人を中心に熟練工が足りていない点を指摘する。用地不足も続いているという。また、建材の価格が上がっているとの指摘もある。建材は、カナダが木材の輸出に補助金を支給しているとして米国が4月に相殺関税を課す前から値上がりしている。

JPモルガンのアナリスト、ダニエル・シルバー氏は、「住宅投資は今後も増加し続けると予想しているが、増加ペースは緩やかなものになるとみている」としている。

変動が大きい集合住宅は前月比15.3%減の29万9000戸だった。中でも5戸以上の集合住宅は2016年9月以来の低水準に落ち込んだ。今年はマンションが増える中で賃貸の空き室率が上がっており、集合住宅の着工件数は勢いが鈍化している。

住宅部門は第2・四半期国内総生産(GDP)を0.27%ポイント押し下げた。住宅建設は第2・四半期に10年第3・四半期以来の大幅な落ち込みとなった。その後勢いを取り戻しているとの見方があったが、この日の統計でこうした期待がくじかれる可能性がある。

*内容を追加して再送します。

(※原文記事など関連情報は画面右側にある「関連コンテンツ」メニューからご覧ください)

ロイター
Copyright (C) 2017 トムソンロイター・ジャパン(株) 記事の無断転用を禁じます。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

アングル:最高値のビットコイン、環境負荷論争も白熱

ビジネス

決算に厳しい目、FOMCは無風か=今週の米株式市場

ビジネス

中国工業部門企業利益、1─3月は4.3%増に鈍化 

ビジネス

米地銀リパブリック・ファーストが公的管理下に、同業
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    日本マンガ、なぜか北米で爆売れ中...背景に「コロナ」「ゲーム」「へのへのもへじ」

  • 3

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 4

    AIパイロットvs人間パイロット...F-16戦闘機で行われ…

  • 5

    ウクライナ軍ブラッドレー歩兵戦闘車の強力な射撃を…

  • 6

    目の前の子の「お尻」に...! 真剣なバレエの練習中…

  • 7

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 8

    走行中なのに運転手を殴打、バスは建物に衝突...衝撃…

  • 9

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 10

    ロシア軍「Mi8ヘリコプター」にウクライナ軍HIMARSが…

  • 1

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミサイル発射寸前の「砲撃成功」動画をウクライナが公開

  • 2

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 3

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 7

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 8

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 9

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 10

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    ロシア「BUK-M1」が1発も撃てずに吹き飛ぶ瞬間...ミ…

  • 6

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中